目次
米国株式の歴史的なリターン
株式投資の利回り

各資産クラスのリターン比較(1802年〜2002年の200年間。インフレ調整後・配当込み) source シーゲル著「株式投資」
米国株式(Stocks)のリターンは、他の資産クラスより上下しますが(チャートもギザギザしています)、平均すると年率6.6%のリターンをあげ続けました。
株式以外の資産クラスの利回り
債権(Bonds)の利回り(年率)は3.6%、金(Gold)は0.7%、現金(US Dollar)は−1.4%です。現金はインフレにより、200年で95%価値を落としています。
株式は債権・金・現金より高利回りでした。リート(不動産投資信託)は歴史が浅いため、長期的な利回りの比較が見られません。そこで、この10年間における米国株式と米国リートを、代表的なETFにより比較してみます。
VOOの概要
VOOとは
VOOはバンガード社のS&P500・ETFです。代表的な米国株式のETFです。
運用会社 | バンガード社 |
ティッカー | VOO |
投資対象 | 米国株式 |
ベンチマーク | S&P500 |
信託報酬 | 0.03% |
純資産額 | 1306.72億ドル |
直近配当利回り | 1.81% |
VOOの構成上位10銘柄
ティッカー | 銘柄 | セクター | 保有割合 |
MSFT | マイクロソフト | 情報技術 | 5.58% |
AAPL | アップル | 情報技術 | 4.93% |
AMZN | アマゾン | 一般消費財 | 3.77% |
FB | フェイスブック | コミュニケーション | 1.86% |
BRK.B | バークシャー・ハサウェイ | 金融 | 1.62% |
GOOG | アルファベットC | コミュニケーション | 1.62% |
GOOGL | アルファベットA | コミュニケーション | 1.61% |
JNJ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | ヘルスケア | 1.60% |
V | ビザ | 金融 | 1.28% |
PG | プロクター・アンド・ギャンブル | 生活必需品 | 1.27% |
上位を大型テック銘柄が占めています。GAFAMの5社で、S&P500の内19.37%を構成しているのは、驚きますね。
VOOのセクター別構成比率
11セクター中トップの情報技術が25.5%です。2位のヘルスケアと合計すると、2つのセクターで4割を占めていて、現在のS&P500はこの2つのセクターに偏重しているのが分かります。
USRTの概要
USRTとは
USRTはブラックロック社が運用する、米国リート・ETFです。米国リートのETFとしては、最も有名なETFの一つです。
運用会社 | ブラック・ロック社 |
ティッカー | USRT |
投資対象 | 米国・リート |
ベンチマーク | FTSE Nareit Equity REITs インデックス |
信託報酬 | 0.08% |
純資産額 | 12.62億ドル |
直近配当利回り | 4.36% |
USRTの構成上位10銘柄
ティッカー | 銘柄 | 業種 | 保有割合 |
PLD | PROLOGIS REIT INC | 物流 | 8.70% |
EQIX | EQUINIX REIT INC | データセンター | 7.98% |
DLR | DIGITAL REALTY TRUST REIT INC | データセンター | 5.30% |
PSA | PUBLIC STORAGE REIT | 倉庫 | 3.80% |
EQR | EQUITY RESIDENTIAL REIT | 賃貸物件 | 3.19% |
AVB | AVALONBAY COMMUNITIES REIT INC | 賃貸物件 | 3.00% |
ARE | ALEXANDRIA REAL ESTATE EQUITIES RE | 商業用不動産 | 2.45% |
WELL | WELLTOWER INC | 医療系不動産 | 2.42% |
SPG | SIMON PROPERTY GROUP REIT INC | 商業用不動産 | 2.24% |
O | REALTY INCOME REIT CORP | 商業用不動産 | 2.20% |
セクター分類では全て不動産になりますが、業種は様々です。米国の不動産業を幅広くカバーしています。データセンターの割合が増加しているのが、ここ数年のリートの傾向です。
USRTの業種別構成比率
リートなのでセクターは全て不動産ですが、業種別で見ると、USRTの投資先は幅広く分散されているのが分かります。
米国株式(VOO)と米国リート(USRT)のリターン比較(配当込み)
チャート

米国株式(VOO)と米国リート(USRT)のリターン比較(配当込み)
赤いチャートが米国株式(VOO)、青いチャートが米国リート(USRT)です。
2011年から2016年まではあまり差がないですが、2017年から差が広がっています。コロナショックの下落幅はリートの方が大きいですね。10年間で、米国株式は274.5%(約2.7倍)、米国リートは177.8%(約1.8倍)のリターンとなりました。
10年間の年率
VOO | USRT | |
2011年 | 1.89% | 9.17% |
2012年 | 16.00% | 16.70% |
2013年 | 32.39% | △0.99% |
2014年 | 13.55% | 29.12% |
2015年 | 1.31% | 3.89% |
2016年 | 12.17% | 7.19% |
2017年 | 21.77% | 5.29% |
2018年 | △4.50% | △4.62% |
2019年 | 31.35% | 25.96% |
2020年 | △11.66% | △26.07% |
平均年率 | 11.43% | 6.56% |
VOO(米国株式・S&P500)の方がUSRT(米国リート)より高い平均年率になりました。2011年、2014年、2015年のように、リートの方がリターンが高かった年もあります。リターンの高い年にバラつきがあるため、分散投資してリバランスすることも一つのテかなと思います。
指標比較
VOO | USRT | |
シャープレシオ | 0.86 | 0.43 |
ソルティノレシオ | 1.30 | 0.60 |
最高年率 | 32.39% | 29.12% |
最低年率 | △11.66% | △26.07% |
シャープレシオは数値が高いほど、リスクを取ったことによるリターンが高いことを意味します。ソルティノレシオは、数値が高いほど下落局面で強いことを意味します。
どちらの指標も、米国株式が米国リートの2倍以上の数値となっており、少なくとも2011年からの10年間は、米国株式の方が優れていたと分かりました。
個人的な見解
米国リートが弱いというより、米国株式(S&P500)が強すぎました。特にこの10年間は、GAFAMの躍進もあり、最も優れた資産クラスだったと言えます。とはいえ、米国の人口は長期的な増加が見込まれていて、人口増が追い風になるリートへの投資にも魅力があります。
アメリカの人口は現在約3.2億人ですが、2050年に3.8億人、2100年には4.4億人まで増加するとみられます。予想のとおりになるなら、2100年までに31.5%の増です。(ソース 国連『World Population Prospects』)株式を中心に、リートにも少し投資をするのが理想的だと思います。