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ビジョナリーHDの懸念事項について三井取締役に確認
12月13日(金)に発表された一連のIRについては、期待感とともに懸念が広がっていました。エムスリー社との資本業務提携については好感を持たれたものの、増資に関して個人投資家の間で懸念が広がっていたのです。
このことについて、12月20日(金)にビジョナリーHDの三井取締役に確認した内容をまとめました。特に新しい情報はありません。有利な情報を得たわけでもありません。一連のIRの解釈について、教えていただいた内容になります。(ブログに書くことは了承済)
定款変更に伴う今後の増資について
定款変更内容
現在の発行可能な普通株式数 | 定款変更後の発行可能な普通株式数 |
3,500万株 | 9,800万株 |
この定款変更が、2020年2月17日(月)の臨時株主総会で付議されます。承認・可決した後、発行可能株式数が大幅に増大します。仮に、発行可能な株式数の上限(9,800万株)まで増資した場合、希薄化率は297.76%に達し、現在の株主の資産は著しく毀損されることになります。
今後の増資リスクを考えたら、とても買えたもんではない、と思った人も多かったのではないでしょうか。そこで、定款を変更して、発行可能株式数を増加させる理由について、説明をいただきました。
発行可能株式数の増加は今後の増資を目的としていない
今回、エムスリー社との資本業務提携に伴い、エムスリー社を割当先とした増資を行います。エムスリー社は発行される新株式の全てを引き受ける予定です。
この増資をする結果、以下のように現在の発行可能株式数を、200万株ほど超過してしまいます。超過分に対応するため、定款変更を行います。将来的な増資については、現時点では全く視野に入れていないとのことです(未来のことは不明)。
株式数(A) | 発行可能株式数(B) | B−A | |
現在 | 24,638,115 | 35,000,000 | 10,361,885 |
第三者割当増資 | 12,444,600 | – | – |
増資後 | 37,082,715 | 35,000,000 | △2,082,715 |
エムスリー社との資本業務提携の意義
安定大株主の存在
アドバンテッジ・パートナーズ(AP)のエグジット以来不在だった、安定大株主を必要としていたとのこと。エムスリー社はビジョナリーHD株式について、長期保有を前提としています。5年程度でエグジットする、APのようなエクイティ・ファンドより良いですね。
業務の多様化
今後は業務内容を見直し、単なる「メガネの小売」からの脱却を目指します。今回、医療分野に強固なプラットフォームを持つエムスリー社と、ジョイント・ベンチャーを立ち上げることにより、ヘルスケアの要素が加わります。
アイケアの観点から、エムスリー社(とのJV)を介して眼科医と協力体制を築き、顧客を紹介し合う、ということでしょう。イメージについては、以下の説明資料をご参照ください。
参考 資本業務提携により実現を目指す両社の方向性ビジョナリーHD・説明資料売上の強化
顧客単価が高い眼鏡屋において、眼科から顧客を紹介されるのは非常に大きいとのこと。一店舗について数名の顧客が増えるだけでも、業績に一定の寄与が見込めます。顧客が安定的に供給され、増加していくのであれば、長期的な業績向上が期待できます。
IRの方針について
一部では、アドバンテッジ・パートナーズがエグジットするまではIRが多くて、その後少なくなったという指摘があります。
アドバンテッジ・パートナーズがエグジットするまでは、意図的な株価嵩上げがあり、エムスリー社との業務提携に向けては、意図的な株価引き下げがあった、という憶測です。
この点については、「これまでも今後も、株価の上下を目的としたIRは一切ない」との回答を得ました。当然と言えば当然のことです。