株とFXの基本的な比較
まず、これを表にして比較してみましょう。
株 | FX | |
信用取引レバレッジ | 3倍まで | 25倍まで※1 |
投資対象 | 企業や指数 | 通貨 |
投資対象数 | 国内の上場企業は約4千社 | 通貨ペアは約50種類 |
取引手数料 | 安い | 非常に安い |
取引時間 | 9時から15時 | 24時間 |
金利 | 配当は原則年2回※2 | スワップ金利は毎日 |
参加者数 | 市場による | 非常に多い |
価格に影響を与える要因 | 少ない | 多い |
※1海外のFX口座は数百倍のレバレッジが可能
※2海外株の配当支払いは年4回が主流
注目すべきは次の2点です。
- 株式投資は参加者が少ない市場がある(マザーズ等はほぼ個人投資家しかいない)
- 価格形成に影響を与える要因が、FXに比べて限定されている
株式投資には個人投資家がメインの市場が存在します。マザーズやジャスダックの銘柄のほとんどは、プロ(機関投資家)からすると、投資不適格な小型株です。
価格形成要因については、株式投資の場合、業績と地合いにほぼ限定されます。一方でFXの場合は、メインは各種重要な経済指標になりますが、要人の発言に大きな影響を受けることがあります。
ミューチュアルファンドの歴史上、最も大きいリターンを上げたことで知られる、マゼランファンドのピーター・リンチは、機関投資家が目をつけていない小型株に投資して、何度も10倍株(テンバガー)を掴みました。リンチの本を読むと、「個人投資家はアナリストが推奨している銘柄を買ってはいけない」ということが繰り返し書かれています。
一方のFXは、市場が巨大で流動性が高いため、どの通貨ペアにも必ずプロの機関投資家が参加しています。個人投資家がメインの市場は有り得ません。
ベースの利回り
個人的に最も決定的と思われる差は、利回りの差です。
株式の世界では、平均の利回りを市場平均と呼びます。日本株の市場平均(今ならTOPIXですね)は歴史的に約4.5%程度。アメリカ株では市場平均が約6.5%にもなります。市場平均を下回る人がいれば、同じ分だけ上回る人もいます。アメリカ株市場はプラス6.5%をベースとしたゼロサムゲームです。市場全体の損益は大幅なプラスですね。
一方で、FXはベースの利回りがありません。市場全体のトータル損益はほぼプラスマイナス・ゼロになる。誰かが負けた分、誰かが勝っています。ほぼプラスマイナス・ゼロというのは、スワップ金利や取引手数料があるため。でもその程度です。FXは完全なゼロサムゲームに近いのです。
この差は非常に大きいと言えます。株式であれば、S&P500を配当再投資しながら長期ホールドしているだけで、誰もが年利6.5%以上のリターンを得てきました。複利運用することで、利回りは更に向上したでしょう。FXではそのような勝ち方ができません。
株式投資のデメリットを挙げると、市場平均がマイナスになる年(リセッション期など)は、大多数の利回りがマイナスになってしまいます。FXの場合はベースが常にゼロであるため、株式の市場平均がマイナスに落ち込む年でも、全体の損益は変わりません。せいぜい、円が相対的に強くなるぐらいです。
株、FXの勝ち方
株式投資は次の2つの投資手法について、金融経済学で有効性が認められています。
安全性が高いポートフォリオの組み方についても、ノーベル経済学賞受賞者ハリー・マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論など、様々なモデルが提示されています。
・インデックス投資(ドルコスト平均法)
・高配当株の配当再投資(高配当戦略)
FXの場合はテクニカルを投資の根拠にする場合がほとんどです。
テクニカル(チャート分析)による投資については、モメンタム投資は短期において一定の効果が認められますが、全体的には経済学の裏付けがありません。オカルト扱いする人もいます。投資というより投機に近いです。多くの経済学者が支持するランダム・ウォーク理論は、チャート分析を否定します。
スワップ金利の再投資という長期投資の手法もありますが、金利が高い通貨というのは、何らかのリスクを抱えていて、長期的な成果は期待できません。、金利平価説という考え方があります。
高金利通貨のスワップ金利再投資は慎重に判断した方が良いでしょう。高配当株の配当再投資と複利効果を狙う仕組みは似ていますが、リスクは大きいのです。
金利平価説とは?
どの通貨で資産を保有しても、最終的なリターンは同じになるように、金利が決まるという説です。
金利平価説によれば、保有していて有利な通貨は存在しません。
結論
勝ちやすいのは株式投資です。