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eMAXIS Slim 新興国株式インデックスとは
eMAXIS Slimシリーズのインデックス・ファンドです。このファンド一つで新興国に分散投資できます。ベンチマークはMSCI エマージング。
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
ベンチマーク | MSCI エマージング・マーケット・インデックス |
信託報酬(税込) | 0.2079% |
純資産額 | 255.23億 |
MSCI エマージング・マーケット・インデックスとは
このファンドのベンチマークとなるMSCI エマージング・マーケット・インデックスは、MSCI社が算出している新興国株式の指数です。1988年に発表されて以来、新興国株式の指数としては最も広く採用されています。(以下、数値のソースはMSCI社のファクト・シート(2019年12月31日付)です。)
構成国割合
中国・韓国・台湾が約57%を占めています。インドやブラジルといった国の割合が意外に小さいのが分かります。
新興国株式の指数としては、他にFTSE エマージング・インデックスがあります。こちらは韓国が入っていないため、その分インドやブラジルの割合が少し高くなります。(MSCIでは韓国を新興国扱い、FTSEでは韓国を先進国扱い)
構成銘柄(上位10銘柄)
銘柄 | 国 | 時価総額(億ドル) | 構成割合 |
アリババ | 中国 | 3589.4 | 5.77% |
テンセント | 中国 | 2763.6 | 4.44% |
TSMC | 台湾 | 2720.0 | 4.37% |
サムスン電子 | 韓国 | 2304.4 | 3.70% |
中国建設銀行 | 中国 | 830.6 | 1.34% |
ナスパーズ | 南アフリカ | 718.6 | 1.16% |
中国平安保険 | 中国 | 660.2 | 1.06% |
リライアンス・インダストリーズ | インド | 605.1 | 0.97% |
HDFC | インド | 554.1 | 0.89% |
中国移動通信 | 中国 | 516.4 | 0.83% |
中国の銘柄が多いですね。アリババ・テンセントの時価総額の膨張はGAFA並みです。かつての中国(香港)株の代表格である、中国移動通信(チャイナ・モバイル)も10位に入っています。
「MSCI エマージング」か「FTSE エマージング」か
MSCI エマージング | FTSE エマージング | |
1年 | 18.4% | 20.6% |
3年 | 11.6% | 11.6% |
5年 | 5.6% | 6.0% |
数値は年率です。
FTSEの年率が高い理由
数値は年率、ソースはファクト・シートです。少しだけFTSEの方が上回っているのは、MSCI エマージングに韓国が含まれ、FTSE エマージングに韓国が含まれていないため。韓国の市場平均(KOSPI)は2017年以外、低調なパフォーマンスです。
韓国株の見通しは分かりませんが、今後の見通しは良いと考える人もいます(ジム・ロジャーズなど)。
その他の差異
MSCIは大型・中型株式中心、FTSEは小型株式まで含むという違いもあります。
新興国株式クラスは必要かという議論

S&P500とMSCI エマージングの10年間の増減率比較。
この10年間、米国株式(S&P500)はほぼ右肩上がりで上昇してきましたが、新興国株式(MSCI エマージング)はほぼ横ばいです。チャートは10年間の増減率の比較ですが、もっと長期で見ても、似たような結果になります。米国株式や先進国株式だけにした方が良い、という意見を持つ人が多いのも分かりますね。
私が指針にしているシーゲル教授は、「世界市場の成長を収益率に反映させたいなら、幅広い分散こそがカギになる」ため、新興国も組み入れるべきとします。バートン・マルキールにしてもチャールズ・エリスにしても同様ですね。安易に外す判断はしない方が良いでしょう。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの決算概要
ベンチマークとの差異(トラッキング・エラー)
2018年4月26日~2019年4月25日(決算)の間、基準価額は1.5%の下落。ベンチマークの3.1%の下落を、1.6%上回っています。トラッキング・エラーが生じています。内訳は以下のとおり。当時、ベンチマークが配当を含まない指数だったため、上方乖離していたわけです。今は配当込み指数が採用されているので、今後のトラッキング・エラーは減るでしょう。
- 配当要因:+2.3%程度
- 取引要因:非開示
- ファンドの管理コスト:△0.2%程度
実質コスト
信託報酬 | 0.202% |
売買委託手数料 | 0.037% |
有価証券取引税 | 0.025% |
その他費用 | 0.115% |
計 | 0.379% |
2018年4月26日〜2019年4月25日の実質コストは、0.379%となっています。
先進国株式クラスなどと比較すると高い印象を受けますが、新興国株式クラスとしては最安の部類です。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの評価
新興国株式クラスの中では最良のファンド
eMAXIS Slimシリーズだけあって、コスト面は良心的です。他により安いファンドが出た時に追随することを明言している点でも、安心できます。
韓国を除いたFTSE系の新興国株式として、SBI・新興国株式インデックス・ファンド(雪だるま(新興国株式))があります。リターンは雪だるまの方が高いですが、純資産額の差からeMAXIS Slimを推奨します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)一本の方が良いのでは?
例えば株式クラスのポートフォリオを、先進国株式:8割、新興国株式:1割、日本株式:1割で組むとして、毎年リバランスをできるでしょうか?そもそも適切な配分も毎年変わってくるし、意外と大変です。
それならば最初から、全世界株式一本を買っていった方が無難だと思います。