Long-term investment

ソフトバンクグループの株価急落と利益の質の考え方

ソフトバンクグループ株の急落

ソフトバンクグループ(以下、SBGと書きます。)の株価が急落しています。主な理由は以下のとおりです。

  1. Uber、WeWork(ウィーワーク)等の評価額急落によって、ビジョンファンドへの懸念が広がった。
  2. スプリントの早期合併見込みが後退。財務リスクが意識される。
  3. フリーキャッシュフローを安定的に生む事業が通信事業(SBKK)しかない、SBGの事業内容が嫌気される。

華々しい発表が続いた一年

SBGは2018年10-12月期の決算は華々しいものでした。ビジョンファンドの貢献が大きかったとして6割の増益と、子会社IPOで得た資金による6,000億円の自社株買いの実施を発表。

その後の2019年4-6月期の連結決算では、東証史上最大の営業利益を発表し話題になりました。

しかし、株価の値動きは堅調とは程遠いものになっています。

株価の推移

ソフトバンクグループ、S&P500、バークシャー・ハサウェイの株価の推移。source yahoo finance

赤:SBG、青:バークシャー・ハサウェイ、緑:S&P500

SBGの株価の推移を見ると、自社株買いの発表があった2月から、スプリントとT-Mobileの合併承認報道があった5月まで、急騰していたことが分かります。この間はバークシャーやS&P500より良いパフォーマンスでしたね。

しかし、8月に市況が悪化した中で、Uberの株価下落基調やWeWorkの評価額引き下げが重なると、懸念が広がり、株価は急速に下がり始めます。9月も続落。市場平均であるS&P500や、バリュー株の代名詞であるバークシャーが上昇したのとは、対照的な値動きになりました。

WeWorkの評価額は、SBG投資時点の評価額である470億ドルから、既に3分の1未満の150億ドルまで引き下げられています。同業のIWGとの時価総額との比較から、更に半減する可能性があります。

営業利益とキャッシュフロー

営業利益の推移

2014年から2015年は横ばいですが、ここ三年で急騰しているのが分かります。

キャッシュフローの推移

営業利益の推移とは対照的に、フリーキャッシュフローがマイナス圏で推移していることが分かります。ソフトバンクグループの中で、安定的に高位な営業キャッシュフローを稼ぐのは、通信業のソフトバンク株式会社だけです。

本来なら、ARMやスプリントも第二・第三のキャッシュマシーンとなる構想でしたが、現時点の貢献度は非常に低いのが現状です。スプリントに至っては、フリーキャッシュフローがマイナスの年もあります。

一方で、投資キャッシュフローは、投資会社となる過程で増大してきました。

利益の質

以下、シーゲル教授の「株式投資」(緑本)からの引用です。

利益の質を測定する方法として、会計上の利益からキャッシュフローを差し引いた金額の累積を調べる、というものがある。

この累積額が膨れ上がっている企業は、利益を操作している可能性が高く、いずれ問題が生じる可能性が高い。反対に、累積額が少ない企業は、利益を手堅く計算している可能性が高い。

SBGほど会計上の利益とキャッシュフローが対照的な企業はないでしょう。当然、会計上の利益からキャッシュフローを差し引いた累積額は、膨れ上がっています。

ミシガン大学のリチャード・スローン教授は、この累積額が高い企業ほど、株式投資の利回りが低いことを指摘しています。1962年から2001年の期間、累積額が最も高い企業群と、最も低い企業群のリターンを比較すると、平均年率の差が最大で18%にものぼります。

もちろん、SBGの営業利益はIFRS基準で計算された正当なものです。

しかし、株式の含み益はキャッシュフローを伴いません。営業利益に占める株式の含み益の割合が大きいほど、シーゲル教授やスローン教授が言うところの「利益の質」は低くなります。

対照的に、同じ投資会社であるバークシャー・ハサウェイは、堅実に事業収益を積み上げてきました。バフェットが推奨してきたコア利益は、コアとなる事業からの利益(事業収益)のみを計上し、その他は除外します。バフェットは利益の質を重視し、高めてきました。(バークシャー・ハサウェイの銘柄分析は以下の記事になります)

バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の銘柄分析。不況に強い資産株。

発表された営業利益を鵜呑みにすることなく、財務・事業収益・キャッシュフローを見て判断するのが賢明です。これらを軽視して投資すると、ひとたび市況が悪化した時に、思わぬ株価の下落に巻き込まれ、暗いトンネルの中で迷走することになりかねません。

株式投資は常に慎重な姿勢が求められます。華々しい発表や楽観的な未来予測を、盲信しないように気をつけたいところですね。

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