Long-term investment

【RDS.B】ロイヤル・ダッチ・シェルはLNGガスに期待の高配当ADR

記事の概要

この記事では、ロイヤル・ダッチ・シェルの業績の推移をまとめた後、アニュアル・レポート等から、事業について見ていきます。

ロイヤル・ダッチ・シェルとは

ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell plc)は、オランダのハーグに本拠地を置く、独立系・石油会社です。長期に渡って石油メジャーのセブンシスターズの一角を占めてきました。

元々、イギリスのシェル(Shell Transport & Trading Co.)は、オランダのロイヤル・ダッチ(Royal Dutch Petroleum Co.)と別の企業でした。ロックフェラー系のスタンダード・オイル(米国企業。現在のエクソン・モービル)に対抗するため、ロスチャイルド家が交渉を仲介して、1903年にロイヤル・ダッチ・シェルグループが誕生しました。

98年間に及ぶ提携関係の後、2005年に正式に合併。通常、我々が購入するのは、従来のシェル側(英国)のB株です。イギリスは配当課税がゼロであり、B株を購入するメリットが高いためです。

本拠地 創業 セクター ティッカー
蘭・ハーグ 1907年 エネルギー RDS.B

業績

営業利益の推移

数値等のソースは同社のアニュアル・レポートです。

営業キャッシュフローの推移

フリーキャッシュフローの推移

キャッシュフローを伴った利益が積み上がっており、極めて良好に推移していると言えます。

2015年の営業利益が低かった要因は、原油価格が低迷していたためです。この時期、石油メジャーはどこも苦境に陥り、合併が推進されました。

ロイヤル・ダッチ・シェルは、2015年にBGグループ(BG Group plc)を買収すると発表。2016年2月15日に買収を完了(買収額は約500億ドル)。この買収はBGグループが油田・ガス田を持つ、ブラジル、タンザニア、サビンパス(メキシコ湾)、クイーンズランド(オーストラリア)、タンザニアにおける事業収益を高めるため、長期的にはプラスに働くでしょう。

ブラジルはロイヤル・ダッチ・シェルのプレゼンスが弱かった地域です。ブラジルの深海油田は数百億バレルの埋蔵量があるとされ、過去数十年に発見された油田では最大規模です。

サビンパス及びクイーンズランドのLNGガス(液化天然ガス)事業は、今後重要になります。天然ガスは燃焼時の二酸化炭素排出量が石炭より43%、石油より29%少なく、硫黄酸化物や窒素酸化物はほとんど含みません。石油よりは大幅にクリーンなエネルギーと言えます。

BGグループの買収は、補完性が非常に高い買収でした。

買収にかかる費用は投資キャッシュフローに記載されるため、フルーキャッシュフローは一時的にマイナスに転じていますが、その後は高位なフリー・キャッシュフローを維持しています。配当は据え置かれていますが、減配リスクは非常に低く(70年間減配なし)、後述の自社株買いには期待できます。

財務

有利子負債の推移

BGグループの買収によって、BGグループの純負債(120億ドル)がロイヤル・ダッチ・シェルのバランスシートに計上され、バランスシートは一時的に悪化しました。

DEレシオ(有利子負債自己資本比率)は最大0.4906まで上昇しました。最大に悪化した時点でも問題ない水準であり、その後改善していることから、心配する必要はないでしょう。

利益剰余金の推移

キャッシュは順調に増えています。

長期社債格付け

格付け機関 格付け 格付けの意味
S&P AA- 金融債務を履行する債務者の能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。(AAの定義)
ムーディーズ Aa2 信用力が高いと判断され、信用リスクが極めて低い債務に対する格付。

ロイヤル・ダッチ・シェルのアニュアル・レポート

アニュアル・レポートから、今後の投資方針について、一部抜粋して翻訳します。

業績

原油と天然ガス価格の高騰及び競争力強化の取り組みの結果、2018年には530億ドルの営業キャッシュフローを得ました。今後、原油価格が平均1バレル60ドルで推移すると想定した時、2020年までに年間300億から350億ドルのフリー・キャッシュフローを獲得すると見込めます。

2018年の収益(売上総利益)は239億ドルでした(2017年は134億ドル)。我々は2018年に、157億ドルを配当として株主に還元しました。我々の健全なフリー・キャッシュフローと、より強化されたバランスシートは、我々に自信を与え、2018年半ばからは自社株買いプログラムを実施しました。

原油価格の状況と、引き続き債務が減少していくことが前提になりますが、2020年までに250億ドルの自社株買いを実施する予定です。

今後の投資について

我々は引き続き生産コスト及び投資額の抑制に努めます。しかし、強い成長のチャンスがあるものには、投資を継続します。

天然ガスは、今後数十年のうちに移行すると見られる低炭素エネルギー社会において、主要な役割を担います。特にLNGガス(液化天然ガス)は重要になるでしょう。

シェルが2018年に、LNGカナダ社の巨額なガスプロジェクトで40%の投資額を担ったのは、このような見通しによるものです。世界のLNGガス需要が高まる中で、LNGカナダ社はシェルがビジネスチャンスを捉える助けとなるでしょう。

天然ガス事業については、持続的な発展をあらゆる面から考えてきました。我々のLNGガス事業は、世界中で最も二酸化炭素の排出量が少ない天然ガス事業となっています。

個人的な見解

ロイヤル・ダッチ・シェルが、他の石油メジャーに比べて優位性があると思うのは、環境への配慮です。これはロイヤル・ダッチ(オランダ)とシェル(イギリス)が欧州の企業であることも関係していると思います。環境への取り組みについては、欧州は先進地域ですからね。アメリカの石油メジャーに比べても、時代の逆風に対して良く対応していると思います。

配当利回りは現時点で6.5%程度あり、250億ドルの自社株買いプログラムも発表されています。配当金はB株を購入すれば、配当に対する課税がなく、メリットは大きいです。

ただし、石油事業への投資は時代に対する逆張りであり、注意が必要です。化石燃料に対する風当たりは、今後ますます強くなるはずです。一方で、世界には電力へのアクセスがない人が約10億人いるとされ、エネルギー事業を縮小して良いわけではありません。ここで、LNGガス事業に期待するわけですが、注意深く見ていく必要があるでしょう。

私はエネルギーセクターについては、ロイヤル・ダッチ・シェルB株を買い続けています。

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