Long-term investment

【QCOM】クアルコムの銘柄分析。Snapdragonを擁する5Gの覇権企業

クアルコム(Qualcomm)とは

クアルコムはアメリカを代表する半導体メーカーです。かつて、CDMA方式の携帯電話用チップ市場をほぼ独占し、現在は5Gモバイル・チップ市場の覇者となりつつあります。

本拠地 米・カルフォルニア州
創業 1985年
セクター 情報技術
ティッカー QCOM

クアルコム社の業績

売上高の推移

2016年にアップル社との軋轢が生じて、2017年に泥沼訴訟に突入しますが、その影響が顕著です。訴訟や特許の内容は後述します。(数値のソースは同社のアニュアル・レポートです。)

今後は5G対応のモバイル・チップを独占的に供給するため、売上高が向上していく可能性が高いでしょう。株価もそれを織り込んでいます。

連結純利益の推移

訴訟が相次いだ2017年は赤字になりました。

クアルコムの特許覇権

先進国及び中国・インドで幅広く特許を取得

クアルコムの特許取得数。source Qualcomm’s HP

クアルコムはCDMA方式から、最先端の5Gに至るまで、主要技術の特許を幅広く取得しています。上の地図の緑色が濃い地域は特許取得数が多く、クアルコムが注力している地域です。

地域・機関 特許取得数 全体に占める割合
アメリカ(米国特許商標庁) 23,270 21%
WIPO(世界知的所有権機関) 18,691 17%
EU(欧州特許庁) 13,632 12%

主な特許

クアルコム社によると、次の5つの特許が同社にとって最も価値が高い特許になります。難解ですね。技術に詳しい人ならば、ピンとくるのでしょうか。

特許番号 内容
EP1985068A1 ビーコン信号の有無を調べる際の、通信方法及び装置
US6574211 高速パケットデータ伝送の際の、通信方法及び装置
US8577299 サイクリック・プレフィックス(Cyclic Prefix)を備えた無線通信システム
CA2603231C ハイバンド・タイムワーピングのシステム、方法及び装置
KR100956524B1 音声信号の高帯域部分を符号化および復号化する音声処理技術及び装置

ライセンス料を巡る、クアルコムとアップルの泥沼訴訟

訴訟歴

時期 訴訟主体 訴訟内容
2017年1月 Apple→Qcom 過大なライセンス料を要求しているとして提訴
2017年4月 Qcom→Apple ライセンス料を支払っていないとして提訴
2017年5月 Qcom→Apple 業務委託先に、クアルコムにライセンス料を支払わないよう、要求したとして提訴
2017年10月 Qcom→Apple 中国でのiPhone製造取りやめを求めて提訴
2017年11月 Qcom→Apple インテルに業務情報を漏洩させたとして提訴
2017年11月 Apple→Qcom クアルコム社の半導体がアップルの知的財産権を侵害しているとして提訴
2017年11月 Qcom→Apple iPhoneの画像処理技術が特許侵害をしているとして提訴

クアルコム社とアップル社の和解が成立

2019年4月16日、両社は全ての訴訟を取り下げました。同時に、インテル社は5Gモバイルチップ事業からの撤退を表明。この報道によって、クアルコム社の株価は23%上昇しました。

クアルコム社の1年間の株価推移。source yahoo finance

クアルコム社とアップル社の和解内容

  1. アップル社はクアルコム社にライセンス料を支払う(金額は非公開)。
  2. アップル社とクアルコム社は、6年間のライセンス契約及び複数年のチップ供給契約を結ぶ。

和解の背景を見ると、クアルコムの実質的な勝訴

クアルコム社は2018年12月にSnapdragon 855を発表しました。2月にはバルセロナで、盛大な5Gローンチセレモニーを主催。日本からはドコモ、KDDI、ソフトバンク、ソニーなどが参加。この時点で、5Gの前倒しの商用化(2019年中)が現実的になりました。クアルコム社員たちが着るTシャツには、5G only on Android(5GはAndroidだけ)の文字があり、アップルを挑発。

一方のアップルは、クアルコムをiPhoneから排除するべく、iPhone XSにインテル社製のCPU(XMM7560)を採用。アップルは、5Gでもインテル製のチップを採用する、と宣言していました。ところが、インテルが5G対応のモバイルCPU開発に失敗します。これによりアップルは、iPhoneがAndroidに遅れることなく5Gに対応するため、クアルコム社製CPUを採用せざるを得なくなったのです。事実上、アップルがクアルコムに頭を下げる形での和解となりました。

クアルコム社の財務

短期的な財務

単位は100万ドルです。

流動資産 流動負債  流動比率
2015年 22,981 7,311 314.3%
2016年 43,593 10,907 399.7%
2017年 17,384 11,389 152.6%
2018年 16,765 8,935 187.7%

短期的な財務の安定度は流動比率で見ることができます。クアルコム社の財務は、流動資産が流動負債の2倍程度あり、安定的です。

ITバブル崩壊時

同社は、ITバブル崩壊後にいち早く財務改善に取り組んだ経緯があります。2002年末時点での、同社のデータは以下のとおり(単位:100万ドル)。盤石なCDMA方式の特許と、財務改善の取り組みによって、多くのハイテク新興企業が倒産した荒波を乗り切りました。

流動資産 3,711
流動負債 467
流動比率 794.6%
長期借入金/運転資本 0.39

クアルコム社のキャッシュフロー

フリーキャッシュフローはプラス圏で推移。2018年には、約100億ドルの自社株買いを実施。2019年度中に、更に200億ドルの自社株買い計画が予定されています。配当も高く(株価が上昇した現在でも2.96%)、株主還元を維持できるかは気がかりです。

特許覇権を確立しつつあるので、今後は更に多額のロイヤリティーを取ることができます。キャッシュフローの推移には注目したいですね。

Snapdragon 865、765、765Gの発表

世界が注目するクアルコム社ですが、12月3日には新たに3つのチップを発表しています。ハイエンドのSnapdragon 865の処理能力は従来比2倍、競合比3倍とされます。同社のモバイル・チップ分野の優位性は、しばらく動きそうにありません。

幸い、ハイテク銘柄のため、市況の変動の影響を受けやすく、何らかのショック時に、押し目買いのチャンスはあるでしょう。

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