Long-term investment

賢人たちのポートフォリオとシーゲル派の課題

著名な経済学者や投資家のポートフォリオと比較すると、シーゲル教授が推奨するポートフォリオの特殊性が分かります。同時に課題も見えてきます。

グレアム推奨ポートフォリオ

グレアムはバリュー投資の父と呼ばれ、バフェットの師としても知られる大投資家です。

グレアムの特徴は慎重さにあります。

資産クラス 比率 具体例
株式(大企業) 50% ダウ平均採用銘柄の分散投資
債券 50% 貯蓄債、長期債、短期債から、個人のリスク許容度によって選択

グレアムが推奨するポートフォリオは米国株式50%、債券50%です。財務が良く割安な大型銘柄と、債権に分散投資します。グレアムが最も推奨する債券は連邦貯蓄債です。この債券に該当するものは、日本にはありません。投資金額が大きい場合は、長期国債や短期国債も選択肢に入ります。

リスク許容度に応じて、株式の割合を75%を上限として、増やしてもよいとします。一度、資産配分を決めたなら、定期的にリバランスしながら、ポートフォリオのバランスを保ちます。

バフェット推奨ポートフォリオ

バフェットはバークシャー・ハサウェイの会長ですが、バフェットが一般の投資家に推奨するのはバークシャー株(BRK.B)ではなく、S&P500に連動する投資信託です。

S&P500の投資信託を90%と、米短期国債を10%が、バフェット推奨のポートフォリオになります。師であるグレアムより強気です。

資産クラス 比率 具体例
株式(S&P 500) 90% VOO、IVV、eMAXIS Slim S&P500
アメリカ短期国債 10% AGG、BND

S&P500に連動する投資信託としてバフェットの念頭にあるのは、世界最古のインデックス・ファンドとして知られる、Vanguard 500 Index Fundだと思われます(「バンガード社が運用する投資信託」という条件のため)。

S&P500については、低コストETFのVOOやIVVで代用できます。積立投資で買う場合はノーロードのeMAXIS Slim S&P500か、SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドが良いでしょう。

短期国債はAGGやBNDといった、債券ETFが流動性の高さからおすすめです。ただ、日本で生活する私たちには、ノーロードで信託報酬が低い国内債券インデックスか、ノーロードかつ信託報酬がない個人向け国債(変動型)も良い選択肢になります。

レイ・ダリオ推奨ポートフォリオ

債権王レイ・ダリオのポートフォリオは、グレアム以上に慎重です。レイ・ダリオによれば、株式の値動きは債権の約3倍も荒いため、株式の値動きを十分にヘッジするには、債券の組入を株式よりも多くする必要があります。

株式クラスのポートフォリオについては、アメリカ市場全体が推奨されています。VTI(ETF)か、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)で事足りるでしょう。ちなみに、レイ・ダリオが運営するファンド(ブリッジウォーター・アソシエーツ)の保有株式は、VWO等の新興国市場ETFが50%以上を占めています。

長期国債はいくつかの選択肢がありますが、流動性の高さからTLTがオススメのETFです。表には、その他の資産クラスについても、最も流動性が高いETFを記載しました。

レイ・ダリオの推奨ポートフォリオは、オール・シーズンズ・ポートフォリオ(オール・ウェザー・ポートフォリオ)と呼ばれ、広く知られています。

資産クラス 比率 具体例
全米株式 30% VTI、楽天・全米株式インデックス・ファンド
米長期国債 40% TLT(Iシェアーズ・米国債20年超ETF)
米中期国債 15% IEI(Iシェアーズ・米国国債3-7年ETF)
7.5% GLD(SPDR・ゴールド・シェア)
コモディティ 7.5% GSG(iシェアーズ・コモディティ・インデックス)

シーゲル推奨ポートフォリオ

シーゲル教授推奨ポートフォリオの最大の特徴は、株式が100%であることです。著書の「株式投資」著書(緑本)によると、長期的に保有すると株式のリスクは低減され、債権の方がリスクが高いとされます。

このポートフォリオは「株式投資の未来」(赤本)に掲載されています。

資産クラス 比率 具体例
米国株式30%+非米国株式20% 50% VT、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、eMAXIS Slim 全世界株式
高配当戦略 20% HDV、VYM、高配当個別株10銘柄
グローバル戦略 10% IOO(iシェアーズ グローバル 100)
バリュー戦略 10% バークシャー・ハサウェイ
セクター戦略 10% VDC、VHT

ポートフォリオの50%を占めるインデックスファンドは、米国株式インデックス30%・非米国株式20%と説明されています。

シーゲルは、全世界に分散投資すべきという考えを持っています。全海外株のインデックスファンドに投資することが、概ねシーゲルの意に沿うものでしょう。VT(ETF)、楽天全海外株式インデックス(楽天VT)、eMAXIS Slim全海外株など。

高配当戦略は、高配当な10銘柄に分散投資です。一例として、S&P10種という、S&P500採用銘柄の内、最も配当利回りが高い10銘柄に投資する手法があります。S&P500を長期的にアウトパフォームしている手法。ETFならばHDVかVYMが良いでしょう。

グローバル戦略として推奨されるのは、S&Pグローバル100(IOO)です。多国籍企業100社からなる指数ですが、HSBCやグラクソ・スミスクライン等のADR高配当株が採用されています。これらの個別銘柄はNISA口座と相性が良いため、個別で持つこともオススメです。。

バリュー戦略では、バークシャー・ハサウェイに投資することが推奨されます。

バリュー戦略の一部として、セクター戦略があります。セクター戦略で推奨されるのは、「ヘルスケア」、「生活必需品」、「エネルギー」という、バリュー投資家が主に投資対象とする3セクターです。

シーゲル流の課題

金融経済学における株式投資の課題は、いかに大きなリターンを得るか、よりも、いかにリスクを低減するかに置かれてきたと言えます。

シーゲル流の株式100%ポートフォリオで、いかにリスクを低減するのか、は当然課題になります。課題に対するシーゲル派の回答は主に次の2点。

  1. 長期保有をする前提であれば、株式のリスクは小さい。
  2. 配当が下落相場でのリスクを低減し、長期的に利回りを高める。

「長期保有をする前提であれば、株式のリスクは債券より小さい」という緑本の説明には異論があります。倒産した企業を除外した「生き残りバイアス」がかかっている、という批判が一例です。

これを受けてシーゲル教授は、赤本で上場廃止になった場合も含めて、株式の長期利回りを計算しています。信頼に足る検証結果だと、個人的には考えています。

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