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ファイザー(PFE)とは
ファイザーは米国の製薬メーカーです。売上高は世界第2位(2019年)。2016年までは1位でした。2017年以降は、スイスの大手製薬メーカーであるロシュが上回っています。
本拠地 | 米・ニューヨーク州 |
創業 | 1849年 |
セクター | ヘルスケア |
ティッカー | PFE |
ファイザーの業績の推移
売上高の推移
数値のソースはアニュアル・レポートと決算資料です。2016年〜2018年の水準から2019年は減少。売上高が減少した要因として、次の要因が挙げられます。
- コンシューマー・ヘルスケア事業を分離。(7月31日にグラクソ・スミスクラインと統合)
- 疼痛治療剤「リリカ」の売上が約67%減少(米国での販売独占期間が終了)
- その他、関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」等の主要な製品の売上が伸び悩む
純利益の推移
2016年は、売上高が高いのに純利益が低くなっています。この年、ベネズエラでは2015年に始まったハイパーインフレが加速し、インフレ率は700%に達しました。ファイザーは外貨損失として806百万ドルを計上。好調な売上を相殺しています。
2019年は乳がん治療薬イブランスや、ブロックバスターとなったエリキュースが貢献しました。直近の第4四半期の純損益は△3億3700万ドルとなっています。
ファイザーの財務
流動資産 | 流動負債 | 流動比率 | |
2014年 | 43,804 | 21,587 | 202.9% |
2015年 | 43,804 | 29,399 | 149.0% |
2016年 | 38,949 | 31,115 | 125.2% |
2017年 | 41,141 | 30,427 | 135.2% |
2018年 | 49,926 | 31,858 | 156.7% |
流動比率は短期的な財務の安定性を見る指標ですが、グレアムの基準では150%以上の銘柄が推奨されます。ファイザーは上回っている年もありますね。100%を切ると危険水域ですが、この推移なら余裕があります。
ファイザーのキャッシュフローの推移
プラスで推移していますが、2016年のフリーCFが落ち込んでいます。この年も営業CFは前年比で11.6%伸びています(147億ドル→159億ドル)。投資CFは次の買収をしたため、大幅に膨らみました。
- がん治療薬で有名なメディベーション社を約140億ドルで買収
- 遺伝子療法開発のBamboo社を約6億ドルで買収
- アトピー性皮膚炎治療薬で有名なAnacor社を約52億ドルで買収
ファイザーの主力製品(2018年売上高)
薬品名 | 売上高 | 概要 |
プレベナー | 58億200万ドル | 肺炎球菌ワクチン |
リリカ | 46億2,200万ドル | 疼痛治療剤 |
イブランス | 41億1,800万ドル | 乳がん治療薬 |
エリキュース | 34億3,400万ドル | 経口抗凝固薬 |
エンブレル | 21億1,200万ドル | 関節リウマチ治療薬 |
リピトール | 20億6,200万ドル | スタチン |
この内、リピトールは2011年11月30日に特許切れしています。後発ジェネリック薬品の登場により、売上高は1ヶ月で約4割減。ブロックバスターの特許切れは、大手製薬メーカー(メガファーマ)の業績に大打撃を与えることが分かります。
上記のデータは2018年のものですが、2019年に売上が伸びた薬品がエリキュースです。新たなブロックバスターとなり、特許期間は2026年11月まであります。
ファイザーの評価
個人的な評価
次の点で悪くない選択肢だと思います。主にグレアムの基準で見ています。
- PERが割安圏(3年平均EPSで計算すると16.87倍)
- 流動比率が安全圏。
- ヘルスケアはGICSの11セクターの内、歴史的リターンが最も高い。
- 特許切れの製品が多いが、エリキュースなど数年間貢献する手堅い製品もある。
バロンズ紙の評価
バロンズ紙はファイザーを、2020年に買うべき10銘柄の1つに選んでいます。詳しくは下の記事をご参照ください。