Long-term investment

新型コロナ治療薬として注目のネルフィナビルとJTの関係とは

ネルフィナビルが新型コロナ治療薬として注目を集める

抗HIV治療薬のネルフィナビルが新型コロナウィルスの治療薬として、注目を集めています。国内では国立感染症研究所を中心に、九州大学、筑波大学、東京理科大学などが研究を進めています。

長崎大学はネルフィナビルの治験に入ることを発表しました。

参考 長崎大、コロナ薬の治験を月内開始 抗HIV薬を投与日経新聞

ネルフィナビルとは

ネルフィナビルは、JTと米ファイザー子会社のアグロン社(Agouron Pharmaceuticals Inc.)が共同開発したものです。今年3月までに抗HIV薬としての販売を中止していますが、ここにきて新型コロナ治療薬の有力候補として注目されています。

同薬品について、JTはライセンスを持っていますが、どのような割合で持っているのかは、残念ながら不明です。IR担当者に問い合わてみましたが、アグロン社との権利の割合は非公開情報とのことでした。

JTの現状と課題

高い配当性向への懸念

JTは、グローバルFMCGの配当性向水準を、配当を決める際の参考にしています。グローバルFMCGの配当性向水準は、概ね60〜80%ですが、JTの2020年の配当性向の予測値は89.6%で、超過してしまっています。現時点で、配当の上昇余地はありません。

懸念されている、高い配当性向を引き下げるには、自社株買いが一つの方法です。自社株買いをすると、消却しなくてもJTの所有分については、配当性向の計算から外されるためです。

ちなみに、JTは過去の自社株買いで消却をしていません。自社株買い消却についての定款を、変更しないと消却出来ないためです。定款を変更しない理由は、財務大臣の保有比率を3分の1以上にしないためでしょうね。

国内たばこ事業の先細り

国内では、喫煙率が下がり続けています。半世紀続いたJTの喫煙率調査は2018年で最後ですが、2018年時点で17.9%です。頼みのRRP製品(プルーム・テック・シリーズ)も、19年には販売計画を50億本→33億本に下方修正しています。国内たばこ事業は先細りです。

海外たばこ事業の売上収益は、2020年1Qには全体の62.8%まで上昇し、国内たばこ事業26.0%まで下がりました。海外比重が毎年高まっているため、為替が円高に振れると利益が減少します(円安なら増加)。為替リスクはこれまでより高まっています。

医薬事業への期待

今回のネルフィナビルの件もそうですが、グループに医薬総合研究所や鳥居薬品を抱えるJTは、製薬にも力を持ち、今後の伸びに期待が持てます。

たばこ事業が巨大なため、2020年1Q時点での医薬事業がトップラインに占める割合は、わずか4.0%ですが、継続的に投資した方が良いでしょうね。

最近は不採算事業を切り捨て、主力のたばこ事業に回帰する傾向が見られるJTですが、その姿勢では投資家の理解を得にくいかもしれません。

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