三菱財閥グループとは
岩崎弥太郎が一代で築いた企業グループです。明治6年に創業した三菱商会が、三菱の名前を初めて冠しました。
三菱は明治維新の動乱期に誕生し、岩崎弥太郎の政商としての才覚と、国策の海運事業(郵便汽船三菱会社)によって急拡大しました。
三菱財閥グループについては、以下、三菱グループと書きます。三菱グループのHPも参考に掲載します。
参考 三菱グループホームページ三菱グループ三菱グループの構成
御三家
三菱商事、三菱UFJ銀行、三菱重工業を御三家とします。御三家とされますが、現在は三菱商事の一強になりつつあります。
世話人会
御三家の下に、三菱UFJ信託銀行、三菱地所、三菱電機、明治安田生命保険、キリンHDなどの世話人会があります。世話人会は御三家に加えて、主要な10社の内の6社で構成されます。(御三家以外は毎年2社ずつ入れ替え)世話人会は、三菱グループとしての意思決定が必要な際に、実際に意思決定を担う機関です。
金曜会
世話人会の下に親睦的な色合いが強い、金曜会があります。月に一回、三菱グループの首脳陣が集まって、三菱グループ共通の課題について話し合われます。
金曜会は、御三家、世話人会のメンバーの他、三菱自動車、三菱ケミカルHD、ニコン、ピーエス三菱、三菱総合研究所などが属しています。
代表的な企業 | |
御三家 | 三菱商事、三菱UFJ銀行、三菱重工業 |
世話人会 | 三菱UFJ信託銀行、三菱地所、三菱電機、明治安田生命保険、東京海上日動火災保険、キリンHD、等 |
金曜会 | 三菱自動車、三菱ケミカルHD、ニコン、ピーエス三菱、三菱総合研究所、等 |
その他 | 三菱食品、ローソンをはじめとして、多数の企業 |
三菱グループの経済規模
売上高 | 最終利益 | 企業数 | |
三菱グループ | 410兆円 | 32.4兆円 | 約4万社 |
三井グループ | 297兆円 | 15.4兆円 | 約2万1千社 |
住友グループ | 254兆円 | 15.8兆円 | 約2万社 |
トヨタグループ | 205兆円 | 11.3兆円 | 約1万社 |
ソフトバンクグループ | 94兆円 | 6.7兆円 | 約6千社 |
上記数値のソースは週刊ダイヤモンドです。同紙は財閥グループやメガバンク等について、2〜3年に一度、最新の数値を算出して掲載します。三菱グループ企業に投資している人(私もですが)には、非常に重宝するデータです。
表のように比較すると、三菱グループの規模が桁違いに大きいことが分かります。日本の大企業を代表するのは、最も時価総額が大きいトヨタ自動車でしょうが、三菱グループはトヨタグループの2倍の売上高で、最終利益は3倍近いことが分かります。
三菱グループの今後
財閥という概念は廃れる
現在のように、経済競争がグローバルな規模で激化する時代では、もはや同一グループの企業同士がお互いを庇い合ったり、共通の意思で動くことは難しい。経済合理性の観点からも不可能でしょう。
揃わない足並み
2004年から露見した、三菱自動車のリコール隠し問題の際には、御三家の対応がはっきり分かれました。三菱重工業は不祥事を起こした三菱自動車と距離を置く形で、保有株を売却。一方で三菱商事は支援に乗り出して、三菱自動車の株を買い増しています。
この他、三菱マテリアルの品質データ改ざん問題や、三菱航空機のMRJ納入遅延問題でも、対応が分かれています。
三菱商事自体の財閥化
三菱商事は「投資から事業経営へ」、というビジネスモデルの転換の中で、企業買収と事業収益の強化を進めています。方向性はバークシャー・ハサウェイと似ていますね。
株式を過半数所持すれば、株主総会で取締役を入れ替えることが可能なため、実質的に会社を支配できます(※特別決議は3分の2)。買収企業に役員を送り込み、三菱カラーに染めるのは、バークシャー的です。ソフトバンクの群戦略のような、その企業のカラーを維持する緩やかな連帯とは異なります。
2017年にはローソンを子会社化して話題になりました(投じた資金は1,440億円。株式の50%を所有)。
三菱商事の連結対象子会社は、世界各国に約1,400社です。事業収益を高めるのは、三菱商事のキャッシュフローを強化し、将来の配当原資ともなります。商事の株主にとっては、望ましい方向に進んでいると言えるでしょう。三菱グループという枠組から見ると、内部に新たな財閥グループが生まれるかに見える動きが、どう影響するかは不透明です。
投資対象としての三菱グループ
最大のグループではあるが、今後は三菱グループの企業であるからと、安心して投資するのは早計でしょう。個別の企業の利益やキャッシュフローの推移、事業の展望を分析しなければなりません。もっとも、何らかの不祥事が起きてしまった際には、グループ内企業の支援は依然として期待でき、最低限の保証にはなります。
私は三菱グループの中では、三菱商事、三菱ケミカルHDに投資しています。
三菱商事は業績の推移や事業の展望が素晴らしい。株主還元策については、塁審配当政策を導入しています。
三菱ケミカルHDは、小林会長に代表される三菱カラーに染まらない独自色が特徴ですね。ミューズ細胞等の事業に期待が持てますし、高配当を維持していることも好感が持てます。
この二社に限らず同グループは調べれば良い投資対象となる銘柄が多いです。商事とケミカル以外についても、今後、記事で取り上げたいと思っています。