Long-term investment

エムスリー社と提携したビジョナリーHD(9263)株の見通し

ビジョナリーHDのエムスリー社に対する第三者割当増資

第三者割当増資の概要

ビジョナリー株の今後を考える上で、この第三者割当増資がヒントになるかと思います。概要は以下のとおり。

株式数 希薄化割合 発行価格
現在 24,638,115
第三者割当増資 12,444,600 50.51% 341円

発行価格に注目する

ビジョナリーHDはこの第三者割当増資で、4,243,608,600円(約42億円)の資金を調達します。第三者割当増資先は全てエムスリー社です。

エムスリー社の側からすると、一株あたり341円で約42億円の資金を出資することになります。エムスリー社が損をするような取引をするでしょうか?そう考えると、エムスリー社から見た時に、第三者割当増資後の「妥当」あるいは「割安」な株価が、341円ということになります。

底値に対する安心感

株価予測は不可能であり、本来「底値」も分かるものではありません。しかし、上記のとおり、エムスリー社が出資する一株あたりの株価である341円は、仮想的な底値と見られ、市場に一定の安心感を与える可能性があります。この銘柄は一時期、底無しに下げていました。そのような不安感が払拭されるとしたら、大きいですね。

財務に対する安心感と加速する投資

改善傾向の財務

単位:百万円 流動資産 流動負債 流動比率
2011年4月期 4,549 9,621 47.3%
2012年4月期 4,291 3,493 122.8%
2013年4月期 4,139 4,441 93.2%
2014年4月期 5,088 3,107 163.8%
2015年4月期 5,089 2,770 183.7%
2016年4月期 6,461 3,129 206.4%
2017年4月期 7,362 11,162 66.0%
2018年4月期 8,293 6,839 121.3%
2019年4月期 8,129 7,569 107.4%

流動比率は短期的な財務の安定度を見る指標ですが、100%を下回ると危険水域です。2011年は倒産目前の水準。現在は倒産するリスクが低いのが分かります。2015年までは増資が目立ちましたが、2016年4月期には9期ぶりに黒字転換し、債務超過も解消しています。

投資に対する懸念の払拭

ビジョナリーHDは新中期経営計画期間中(令和元年4月〜令和4年4月)に、合計60億円という大規模な投資計画を打ち出しました。その原資について懸念が持たれていました。

そのため、今回の第三者割当増資で約42億円の資金調達ができ、投資資金の約70%に目処が立ったのは非常に大きいと言えます。調達資金の使途は次のとおりです。

  • 新規出店:4年で17億を予定
  • 次世代店舗への移行:4年で19億を予定
  • 検査機器等及び人材・システム投資:4年で24億を予定
  • エムスリー社との合弁会社設立費用及び運転資金:4億7,800万を充当予定

「稼ぐ力」の向上に対する期待

財務の懸念が払拭されると同時に、稼ぐ力の向上も期待されます。ビジョナリーHDとエムスリー社が共同出資するジョイント・ベンチャーは、ビジョナリーHDには眼科医から、眼科医にはビジョナリーHDから顧客を紹介し合う仕組みを構築します。

近年、ECでの売上が向上しているビジョナリーHDですが、その一方で、店舗売上の伸びには鈍化傾向が見られました。店舗売上の向上に寄与するジョイント・ベンチャー設立は、弱点の補強になります。また、ヘルスケア・医療といった観点から、顧客を取り込むことは、メガネ業界の中でも新しい取り組みであり、期待できると言えます。

PERについての誤解

ヤフーファイナンス等で見ると、ビジョナリーHDのPERは250倍を超えています。非常に割高に見えますね。しかし、これは実際の株価を、予測に過ぎない「通期見通し」のEPSで割ったものです。通期見通しのEPSをPERの計算に用いることは、古典的なファンダメンタル分析では避けるべきとされます。

ベンジャミン・グレアムの推奨に従い、過去三年間のEPSの平均で計算すると(17年4月期:3.9、18年4月期:41.1、19年4月期:19.6)、PERは25倍程度です。

まとめ

エムスリー社への第三者割当増資・発行価格である341円というラインの安心感、財務の改善、投資資金の目処が立ったこと、ジョイント・ベンチャーへの期待が、今のビジョナリー株の上昇の原動力になっていると思います。

今日もザラ場中ではありますが、ストップ高をつけました。このまま終わるかは不明ですが、12月中だけでも、既に終値ベースで3度のストップ高となっています(結局、大納会もストップ高で終わりました。12月中4回目のストップ高です)。先行きの不透明感から下げていた銘柄だけに、安心感が買い材料になっています。中長期的には、業績の向上が本当に加速するのかが、ポイントになってくるでしょう。

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