ろうきんのiDeCoの加入件数が、トップクラスに好調です。全金融機関で4位の実績となっています(1位:SBI証券、2位:東京海上日動保険、3位:楽天証券)。
2019年5月末時点の加入件数は13万件台に達しました。証券会社やメガバンクが競争する中で、ろうきんが健闘していることは意外な事実です。
この記事では、ろうきんiDeCoの運用商品について、私なりの視点で分析して見たいと思います。
ろうきんが何故伸びたか?
全世帯にiDeCoが解禁された2017年1月以降に加入が伸びました。その時点の目標値が3年間で15万件。しかし、2年間で13万件の加入が実現しています。かなり順調ですね。
2017年1月以降に伸びた理由は、公務員のiDeCo加入が解禁されたからです。役所はろうきんとの繋がりが強いです。自治労系の労働組合が協力しているようですね。
ろうきんiDeCoのラインナップ
ろうきんiDeCoの商品は、定期預金を外すと、以下の7商品です。
確定拠出年金法が定める商品数の上限は35本ですから、非常に少ないラインナップですね。バランス型以外は、各資産クラスに1商品ずつ。
加入者が投信の選択で悩まないように、あえて少なくしているのでしょうか。
ファンド名 | 資産クラス | 信託報酬 (税込) | 純資産額 |
DCダイワ日本債券インデックス | 国内債券 | 0.270% | 100.5億 |
DCダイワ日本株式インデックス | 国内株式 | 0.270% | 635.3億 |
DCダイワ外国債券インデックス | 先進国債券 | 0.2484% | 1,259.3億 |
野村DC外国株式インデックスファンド | 先進国株式 | 0.1512% | 533.6 億 |
DIAMバランス・ファンド<DC年金>1 安定型 | バランス(株式40%以下) | 0.2808% | 129.4億 |
DIAMバランス・ファンド<DC年金>2 安定・成長型 | バランス(株式60%以下) | 0.3132% | 266.3億 |
DIAMバランス・ファンド<DC年金>3 成長型 | バランス(株式80%以下) | 0.3456% | 204.1億 |
確定拠出年金専用(DC専用)のファンドが選ばれています。私が推奨したいeMAXIS Slimシリーズは残念ながら、選ばれていません。
どのファンドも純資産額は巨額であり、繰り上げ償還リスクは考えなくて良い。そのあたりの手堅さが、ろうきんらしさでしょうか。
おすすめなファンド
この中では野村DC外国株式インデックスファンドが、最もおすすめなファンドになります。eMAXIS Slimやニッセイの先進国株式には劣りますが、信託報酬は十分な低さです。純資産額の大きさも良い。安心できます。
他のファンドは正直、微妙です。
株式以外に債券クラスを加えたいところですが、DCダイワ日本債券インデックスの信託報酬は0.27%。eMAXIS Slim、i Free、ニッセイの2倍以上の信託報酬です。(eMAXIS Slimの国内債券の信託報酬は0.1296%(税込))
DIAMバランス・ファンド・安定型は、国内債券65%、国内株式19%、外国債券8%、外国株式5%、現金3%と、有りそうでなかなか無い構成。国内債券が多く含まれているため、名前のとおり安定性は期待できます。しかし、バランス型とはいえ、0.28%の信託報酬は許容範囲ギリギリでしょうか。
この中で選ぶのであれば、野村DC外国株式インデックスファンドは確定として、内訳の65%が国内債券である、DIAMバランス・ファンド・安定型を加えるかどうか、という選択になりそうです。
おすすめポートフォリオ
ファンド名 | 配分 | 資産クラス | 信託報酬 |
野村DC外国株式インデックスファンド | 60% | 先進国株式 | 0.1512% |
DIAMバランス・ファンド<DC年金>1 安定型 | 40% | バランス(株式40%) | 0.2808% |
ろうきんiDeCoのおすすめの資産配分は上記のとおりです。
野村DC外国株式インデックスファンドは文句なしの選出。ポートフォリオの主役になるべきファンドです。
DIAMバランス・ファンド・安定型は債券の比率が高い。40%をこのファンドに配分すれば、全体の債券買付け比率は25〜30%程度になります。ポートフォリオ全体に安定感をもたらすでしょう。
難点は信託報酬ですが、今後の引き下げに期待したいところです。
手数料(口座管理料)
中央労働金庫でiDeCoを積み立てる場合の費用は、以下のとおり。金融機関の標準的な手数料となっています。ネット証券より高いです。
金融機関名 | 加入時 | 積立費用(毎月) | 給付手数料(毎月) |
中央労働金庫(ろうきん) | 2,777円 | 472円 | 432円 |
三菱UFJ銀行 | 2,777円 | 422円 | 432円 |
三井住友銀行 | 2,777円 | 422円 | 432円 |
SBI証券 | 2,777円 | 167円 | 432円 |
楽天証券 | 2,777円 | 167円 | 432円 |
マネックス証券 | 2,777円 | 167円 | 432円 |
このように比べると、ろうきんの手数料は高いです。ネット証券と比べると、年間3,660円高くなります。
ろうきんのiDeCoは、職場の年末調整で申告できる場合が多いとのこと。職場がそのような対応を取っている場合は、税務署に出向いて申告する手間を考慮すると、手数料は高いですが、加入するメリットはありそうですね。
ちなみに、コスト面や運用商品を考慮すると、iDeCoのオススメの金融機関はマネックス証券、SBI証券(セレクトプラン)です。