Long-term investment

雇用統計の解説。ダウは372ドル、日経先物は100円程度の上昇。

注目された9月分雇用統計の結果

9月のISM製造業景気指数が10年ぶりの低水準となったことから、今回の雇用統計は注目を集めていました。

毎月発表される雇用統計の内、重要なのは、非農業部門の雇用数の変化です。農業部門については、雇用数の振れ幅が大きく、経済の循環とは別の法則で数値が動くため、重要視されません。主要セクターの推移は次のとおり。

製造業 リテール ヘルスケア
雇用数変化 2,000人減 1万1,400人減 3万8,800人増

全体では13万6,000人の増。雇用数変化の推移は次のとおりです。

明確な伸びの鈍化傾向が見られます。

一方で失業率は大幅に改善。

9月雇用統計結果。失業率。

失業率は半世紀ぶりの低水準となりました。非農業部門の雇用者数変化は鈍化傾向なのに、失業率は非常に良い結果。どうしてこのような違いが生じるのでしょう?

雇用統計の非農業部門雇用者数と失業率が異なる結果になる理由

非農業部門雇用者数(雇用統計)と失業率が異なる結果になることがあるのは、労働統計局(BLS)の算定方法が異なるためです。

雇用統計では事業所調査によって職の数を数え、失業率では家計調査によって失業中の労働者数を数えます。

この違いによって、2つの職業を持つ人は、雇用統計では2つの職業(職の数)をカウントされますが、失業率では一人の有職者とカウントされます。

もう1つの違いは、個人事業主は事業所調査の雇用統計では数えられませんが、失業率の家計調査では有職者に数えられます。

また、失業率の調査の前提として、過去4年間に積極的に求職した上で失業状態の人が、失業者としてカウントされます。

企業の求職数 自営業 調査の形態
雇用統計 正確性が高い カウントしない 事業所調査
失業率 把握できない カウントする 家計調査

このような違いがあるため、雇用者数が大きく伸びたのに失業率は悪化したり、雇用者数の伸びが鈍化したのに失業率が改善したり、という事象が時々発生します。

利下げ期待でダウが上昇

一般の人は失業率を、投資家は非農業部門雇用者数を重く見ます。そのため政治ニュースで取り上げられるのは失業率で、CNBCなどの経済チャンネルでは非農業部門雇用者数が大きく取り上げられます。

では、投資家に重視される非農業部門雇用者数が鈍化したのに、ダウ平均が372ドル上昇したのは、どうしてでしょうか?

これは利下げ期待によるものです。雇用統計の結果は現在の企業業績の期待値を大きく下げるものでしたが、中央銀行(FRB)がこの結果を受けて利下げをするのであれば、利益を割り引いて計算する時の金利が低下します。

つまり、現在の業績悪化への懸念と、近い将来の利益を目減りさせる金利が低下する期待(近い将来の利益上昇期待)の、綱引きになるわけです。

逆に雇用統計が非常に良かった場合は、金利上昇が予測され、将来の利益が目減りすることが意識されて、株価が下がる時があります。

日経225先物の上昇率が低い理由は?

金利低下への期待から、ダウ平均が372ドル上昇しました。一方で日経225先物は100円程度の上昇で、上昇率が3分の1程度に留まっています。

これは次の2つの理由によります。

  1. 日本には金利引き下げの余地がほぼないため、アメリカの利下げに追随できない。
  2. アメリカだけ利下げする場合、円高の圧力が高まる。

このことから、今後もしばらくは、日本株がアメリカ株をアンダーパフォームする可能性が高いです。

もっとも、日銀総裁の黒田さんは、更なる追加緩和の手口を模索しているようです。個人的には限界に見えますが、ことによると、日経平均を大きく上昇させる緩和手段がまだ残されているのかもしれません。

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