代表的なディフェンシブ銘柄
クラフト・ハインツやケロッグは元々代表的なディフェンシブ銘柄で、米国株投資家から高い人気を得ていました。ケロッグなどは不景気になったら、かえって安いシリアル食品が売れると言われていたほど。
しかし、近年は事業の先行きが悲観視されています。その背景についてまとめます。
ミレニアル世代の食文化
ミレニアル世代に該当するのは、1981年から1996年までに生まれた人たちです。アメリカの労働人口の約35%を占めています。
ミレニアル世代の何が加工食品メーカーの不安な先行きに繋がったかというと、食の嗜好の変化です。ミレニアル世代の人たちは、自炊を好まず、親世代よりも3倍の頻度でオンライン注文します。外食も好みます。それでいて、オーガニックな食品好み、プロバイオティクスへの関心が高いとされます。
ミレニアル世代は
・外食を好む
・オンライン注文の頻度が高い
・オーガニックな食品やプロバイオティクスへの関心が高い
クラフト・ハインツの暴落
今年2月のクラフト・ハインツの暴落は各種メディアで話題になりました。注目された理由はクラフト・ハインツの大株主がバークシャー・ハサウェイだったことです。
バークシャー・ハサフェイとは
会長兼CEOのウォーレン・バフェットと、副会長のチャーリ・マンガーが投資の意思決定を行ってきた投資ファンド。1967年に投資事業を始めて以来、バークシャーの株式は年利22.2%の上昇率。投資事業開始から現在までに、S&P500を150倍以上アウトパフォームしています。
バークシャーはH.J.ハインツ社を買収し、クラフトフーズ・グループとH.J.ハインツ社の合併を推進。合併後はクラフト・ハインツ社の株式の27%を所有する筆頭株主となり、バークシャーの株式ポートフォリオでも上位を占める銘柄となりました。バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、近年大型の買収や吸収合併を続けていて、クラフト・ハインツはその象徴的な企業でした。
クラフト・ハインツは、4Qの本決算で減益と減配を発表しました。株価は28%下落。(現在までに30%以上の下落)あのバフェットが投資で大損をしたという主旨の報道が相次いで、大きな話題になったのです。クラフト・ハインツの業績が大きく落ち込んだ理由は、ミレニアル世代の食の嗜好の変化に伴った売上の落ち込みや資産の減損処理によります。一株利益(EPS)もコンセンサス(市場の予想)を大きく下回りました。
クラフト・ハインツの決算内容
・EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の14%減少
・「クラフト」等の商標の減損処理に150億ドルを計上
織り込まれていた株価
チャートを見るとわかりますが、長期的にクラフト・ハインツの株価は下げ続けていました。市場はミレニアル世代の食の変化に伴う、クラフト・ハインツの暗い見通しを織り込もうとしていたのです。

Kraft Heinz Chart source yahoo finance
加工食品メーカーはもうダメなのか?
クラフト・ハインツやケロッグに投資することは、時代に対する逆張りになってしまいます。それでも、個人的には悪くないかな、とも考えています。
私はクラフト・ハインツの暴落後に、ケロッグを購入しました。11銘柄目の海外株です。ゼネラル・ミルズとしばらく迷いました。最終的にはバロンズ紙のアメリカ企業経営持続性ランキングで、ケロッグが依然として高く評価されていたことが決め手となりました。同ランキングでは、クラフト・ハインツ、ゼネラル・ミルズ共に100位圏外でしたが、ケロッグは33位でした。(Barron’s The 100 Most Sustainable U.S. Companies)
ゼネラル・ミルズは、他の加工食品メーカーが下落基調な中で、上昇を続けているため状況が異なりますが、いずれ安くなれば購入したい銘柄です。
私は安ければ買うというスタンスですが、ミレニアル世代やそれに続くジェネレーションZ世代の嗜好の変化は長期的なものになるため、加工食品メーカーには時代に対応したイノベーションが必要になるとの米国メディアの指摘(Food Business News)は正しいでしょう。気長に見守っていきたいと思います。