Long-term investment

IPO件数とバブルの関係性。現在の株式市場はバブルなのか?

IPO件数の歴史的な推移

ニューヨーク市場では、歴史的に、IPO件数が急増した後に株式市場が暴落し、IPO件数が激減するというサイクルがあります。

60年代のIPOブーム

1960年6月頃から増えたIPOは、1969年にピークに達し、年間781社が上場しました。

70年代の「株式の死」

1974年に株式市場は暴落し、70年代を通じて株式の死と呼ばれる時代になりました。74年のIPOはわずかに9社。

80年代の「株式の復活」

株式の死と呼ばれた70年代の後は、80年代の株式の復活と呼ばれた上昇相場で、約4,000社が上場しました。しかし、1987年10月のブラックマンデーの大暴落で、IPOが途絶えます。

90年代の強気相場

90年代になると一転、上昇相場に。IPOは再び増加しました。史上2番目となる長期上昇相場は、アジア通貨危機やロシア財政危機とそれに伴うLTCM破綻も乗り越えて上昇。そのままITバブルに突入すると、IPOの調達額は史上最高額に達します。そして、バブル崩壊とともに激減。

ナスダック市場のIPO件数推移

ここ数年のナスダック(NASDAQ)はテック企業に牽引され、目覚ましく上昇しています。2000年頃のドットコム・バブル(ITバブル)の時にも、ナスダックはダウ工業株平均やS&P500以上に上昇していました。

ナスダック指数は、1971年の取引開始日を100としますが、1995年7月に1,000、3年後に2,000を上回り、2000年3月10日は最高値の5,048.62をつけました。ナスダックはITバブルを象徴する市場となりましたが、IPO件数の推移もバブルであったことを示しています。

上記のグラフで推移を見ると、ITバブル崩壊後にIPO件数が激減していることが分かります。

MEMO
ナスダック(NASDAQ)とは?

ナスダックは、1971年に全米証券業協会(NASD)が導入した、自動気配表示システムの名称です。組み入れられた銘柄の取引を、コンピューターで一括管理できるようになりました。導入当初はニューヨーク証券取引所より格式が低いと見られました。

インテルやマイクロソフトなど、ナスダックに留まる企業が現れると、ハイテク企業の市場として独自の地位を築いていきます。

現在の状況

2019年の上半期は、時価総額が100億ドル超企業の大型IPO件数が、ITバブル以来の高水準になったと報じられました。(7月12日モーサテ)

ユニコーン企業の上場は、2009年には9社だったのに対し、現在は177社です。また、新規上場企業に占める赤字企業の割合は、ITバブル期の2000年以来19年ぶりに80%という高い水準になりました。

しかし、MR.IPOと呼ばれ、IPOの専門家として高名なフロリダ大学のジェイ・リッター教授によると、以下の違いがあります。

ドットコム・バブル期 現在
IPOまでの平均期間 約4年間 約12年間
IPO企業の売上額の中央値 1,200万ドル 1億7,300万ドル

現在のIPOの状況が20年前のドットコム・バブル(ITバブル)期と大きく異なるのは、より成熟した大型な企業のIPOが中心になっている点です。

米配車大手ウーバー・テクノロジーズ(UBER)やリフト(LYFT)は、大型IPO企業の代表格ですが、ITバブル期に見られた収益構造のない企業とは対照的です。

ウーバーは2019年第一四半期の10億ドルの赤字が取り上げられますが、一方で、新規市場を開拓し31億ドルの売上を計上し、前年同期比で20%上昇しています。

2019年のIPO状況

大型IPOがモーサテ等で報じられ、IPOブームかと感じられますが、実際にはIPO件数は昨年から大きく減少しています。

  1. 世界全体では、IPO調達額が前年同期比で74%減、IPO件数は41%減
  2. アメリカでは、IPO調達額が前年同期比で82%減、IPO件数は57%減
  3. アジア太平洋地域では、IPO調達額が前年同期比で30%減、IPO件数は24%減

上記の数値は2018年1〜3月と、2019年1〜3月の比較です。アジア太平洋地域のIPOは依然として活発ですが、アメリカでは景気の先行き不透明感からIPOは減少しました。これが一時的な現象か、継続するトレンドかはまだ分かりません。

大型IPOのパフォーマンス

大型IPO比較チャート。ウーバー、リフト、ビヨンド・ミート。

大きな話題となった3社のIPOの、4ヶ月間のパフォーマンスの比較です。水色=ビヨンド・ミート(Beyond Meat)赤=リフト(LYFT)緑=ウーバー(Uber)

ビヨンド・ミートのパフォーマンスが圧倒的に良いことが分かります。ビヨンド・ミートは株価が公開価格25ドルから9倍以上の234.90ドルと異常な高騰を見せています。

一方でウーバー、リフトは低調なパフォーマンスに終始しています。リフトは初値から30%の下落。ウーバーも公開価格の45ドルを超えられないまま、30ドル台前半で停滞しています。

個人的な見解

2018年までのIPO市場は過熱感があったものの、現時点では落ち着いてきており、ITバブル期と比較するのは時期尚早です。仮にリセッションに突入しても、ドットコム・バブル崩壊時のような、激しい暴落は現時点では想定しにくいです。

しかし、現在は、米中貿易戦争(新冷戦)、ドイツ銀行の破綻危機、中国の債務危機など、複合的なリスクがあります。その点には注意が必要ですね。

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