Long-term investment

ハイパーインフレになるから自宅を買うべきという理屈

煽られるインフレのリスク

少し前に、低インフレ率・低出生率の日本では、持ち家より賃貸が有利と書きました。土地の価格の上昇が期待しにくいからです。

しかし、財政の不安からインフレになるなら、話は別です。ちょっと気になって調べてみると、次の記事がありました。

参考 コロナショックの中、1年以内に自宅を買っておかないとマズイ理由ダイヤモンド・オンライン

ハイパーインフレで明暗分かれる「持ち家」と「賃貸」という見出しが目を引きます。

さらに調べると、「近い将来にインフレになるから、今のうちに不動産を購入しておかないとまずい」と宣伝する不動産屋が、最近増えているようです。

財政破綻とインフレ

インフレになれば持ち家派が有利

確かにインフレ率が高くなると、持ち家派が有利になります。

不動産は実物資産です。インフレで現金の価値が下がると、不動産の価格は上がります。

例えば、4,000万の不動産が5,000万になれば、既に不動産を購入している人は安く買えたことになります。一方で、賃料は上がってしまうので、賃貸派の生活は苦しくなります。

ハイパーインフレとなれば、不動産の価格は更に上昇します。

財政破綻は有り得るのか

MMT(現代金融理論)では、自国通貨建てで国債を発行できる日本のような国が、財政破綻(デフォルト)に陥ることは有り得ないと否定されます。日本では京都大学の藤井聡教授が第一人者で、次の記事のように財政破綻が起こり得ないと主張しています。

参考 日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由。MMTが提唱する経済政策の正当性を理解する。東洋経済オンライン

財務省も、国内向けには消費増税のために財政不安を煽っていますが、外国の格付け機関に対しては、次のように、日本の財政破綻は有り得ないと主張しています。

(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。

(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高

ソース 財務省ホームページ「外国格付け会社宛意見書要旨」

財政破綻は無くてもインフレは有り得る

投資家心理からのインフレルート

ここからは、個人的な考えです。

財政破綻(デフォルト)は起きないでしょうけど、インフレ率が高くなることは有り得ます。例えば、日本の財政が不安視されて、債券市場で国債が売られたら、円の価値が落ちて、インフレ率は上昇します。

私は、株式市場よりも債券市場の方が賢いと思っています。今回のコロナショックでも、債券市場は年初に天井をうちましたが、株式市場は2月中旬まで上昇を続けました。債券市場の方が早く危機を察知していたわけです。債券市場の逆イールドが、株式市場の暴落を予告することも知られています。

そんな賢い債券市場であっても、参加する投資家が人間である以上、「日本の財政が危なそうだ」という心理に動いたら、国債が投げ売られることは有り得ます。この投資家心理は見落とされている気がします。市場が財政危機を認識すると、金利が上がる可能性があるということです。

実際にそういう自体が起こるのかは、予測できません。こういうリスクを避けたいなら、持ち家が良いです。国債の暴落が無い場合は、日本のような低インフレ・低出生率の国では、前回書いた理由で賃貸が有利だと、個人的には思います。

変動金利と固定金利

余談ですが、財政危機時の金利の話も付け加えます。

国債の価格と金利も逆相関です。そのため、万が一、国債価格が暴落すると、変動金利の住宅ローンは大きな被害を受けるリスクがあります。

利息制限法により、最大の金利は15%です。これ以上にはなりません。財政破綻でも起きない限り、さすがにこの金利までの上昇は有り得ないはずですが。

どれぐらい上昇するかは、実際にそういう事態が起こってみないと分からないことです。他国を見ると、日本より財政が健全なアメリカでは、4〜5%で推移してきました。コロナショック後の金融緩和により、今は3%台前半です。財政危機が認識される場合、少なくともこの水準よりは上がると思います。

一方で、フラット35の固定金利は、仮に財政破綻した場合もそのまま維持されます。金利が上昇した時には、銀行の普通預金の金利は上昇するが、不動産ローンの固定金利は低金利で据え置かれるため、キャッシュフローはかなり良くなるはずです。

5年ごとに0.25%上昇するような、穏やかな金利上昇が起こるケースでは、実は変動金利の方が圧倒的に得です。国債価格の暴落のようなイレギュラーな事態が起きると、固定金利はお宝金利となり、立場が逆転してしまいます。

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