最近は権威ある人たちから、インデックス投資ブロガーまで、インデックス投資を推奨する人で溢れかえっています。インデックス投資が推奨されるのには、根拠があります。
しかし、金科玉条のごとく称賛されるインデックス投資ですが、万能なわけではありません。
目次
プロのリターンは市場平均以下
過去のリターン
ベンジャミン・グレアムの調査では、1960年1月〜68年8月にダウ平均構成銘柄を均等にホールドしたリターンは、アクティブ・ファンドの平均リターンを上回っていました。運用の諸経費の分だけ、アクティブ・ファンドのリターンが劣ったのです。
現在のリターン
昨年、モーニングスター社が示した統計でも、半世紀前と似た結果が出ています。
過去10年間、先進国株式や海外REITクラスで、アクティブファンドのインデックスファンドに対する勝率がわずか8%だったことが分かりました。指数ではなく、費用込みの比較なので、差はグレアムの時代以上に開いています。
参考 先進国株式と海外REITの10年アクティブ運用における最終的な勝率はわずか8%モーニング・スター個人投資家は普通に競ったらプロに勝てない
グレアムによれば、個人投資家が機関投資家より、良い成果を挙げることは困難です。調査能力や資金力の面で、機関投資家が優位なためです。
読者の皆さんがいくら賢明で知識が豊富であろうと、トップアナリストよりも優れたポートフォリを構成することは、まず不可能である。(「賢明なる投資家」第15章)
一方で前述のとおり、アクティブファンド(機関投資家)は、インデックスファンドには負けるわけです。
ここで、インデックスファンド>アクティブファンド>個人投資家 が成り立つことが分かります。個人投資家はインデックスファンドを買い続けることが、最適解の一つになります。
ピーター・リンチはインデックス投資に否定的
インデックス投資は最適解の一つです。経済学者だけでなく、アクティブ運用を続けるバフェットですら、素人にはインデックス運用を勧めています。
しかし、異論もあります。特にインデックス投資に否定的なのはリンチです。以下、「バロンズ拾い読み(2019年12月22日号)」から引用です。
最近のリンチ氏のインタビューから
〝リンチ氏はETFについて、「リサーチをする時間がない人のためのもの」だと主張する。同氏は 「投資手法として悪いとは思わないが、なぜETFを利用するのか理由をはっきりさせる必要がある」 と述べる。(中略)リンチ氏は、インデックスに投資するだけでは勝てないと心から信じている。今後、市場のリターンが全体的に低下すると考えるなら、銘柄選択のスキルを磨くのが賢明だ。〟
インデックス投資の欠点
インデックス投資には主に二つの欠点があります。
新規採用銘柄が割高になりやすい
ヤフーが1999年12月にS&P500指数に採用されることが決まると、構成銘柄になる前の5営業日で株価が64%高騰しました。5日間の出来高は、なんと過去3ヶ月分と同規模(一日平均3,700万株)。
結果的に、S&P500のインデックス・ファンドのホルダーは、ヤフー株をかなり割高につかまされたのです。このような例は多くあります。
バブルに乗っかってしまう
インデックス投資のベンチマークとなる指数は、時価総額加重平均型株価指数といい、時価総額に応じて保有割合が決まります。時価総額の大きい銘柄の割合ほど、大きくなるわけです。バブル時には時価総額が膨れ上がった銘柄ほど多く購入することになります。
まとめ
インデックス投資には、お手軽にプロを超えるリターンを得られるメリットと(将来もそうかは分かりませんが)、バブル時にもろにバブルに乗っかってしまうデメリットがあります。仮に現在がバブルであれば、近い将来のインデックス投資のリターンは下がるでしょう。
対策
広く分散することや、他の資産クラスを持つことが対策になります。インデックス投資するにしても、アメリカ一本のものより、全世界に分散するものを選んだ方が、バブルを回避するためには有効です。具体的には次の二つが良いでしょう。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
アクティブファンドや個別銘柄投資の併用も考えられます。今後は株価停滞時に強いバークシャー・ハサウェイやブリッジウォーターのパフォーマンスが、インデックス投資を上回るかもしれません。