Long-term investment

逃亡犯条例反対デモ・民主化デモが激化する香港。HSBCへの影響は?

香港デモの概要

香港デモは6月に、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対して、開始されました。「2019年逃亡犯条例改正案」は9月4日に撤回方針が正式に決定。10月23日に撤回されました。

当初の目的は達成されたはずでしたが、デモは拡大。「2019年逃亡犯条例改正案」反対デモは、香港民主化デモへと発展しました。

民主化デモの背景にある香港の歴史

香港は中国の都市の中でも異質な場所です。1840年から始まったアヘン戦争で、清帝国はイギリスに敗れました。1842年に南京条約が締結され、この条約で、香港はイギリスに割譲されたのです。以後、1997年まで155年に渡って、香港はイギリス領として、中国にはない自由を享受してきました。中国への返還後は、一国二制度によって香港特別行政区政府として、高いレベルの自治権が保証されるはずでした。

ところが、近年、香港では検閲の厳しさが増し、民主派議員が議員資格を剥奪されるなど、かつての自由が危機に陥っています。民主化デモが進むと、民主派議員は一斉逮捕されました。

HSBCホールディングスへの影響

HSBC(旧香港上海銀行)はイギリスのアジア圏植民地支配と深く関わり、歴史的に香港を主要な収益源としてきました。1998年に初めて、欧米の収益が香港を上回りましたが、現在でも香港部門の収益は全体の約22%もあり、無視できません。

先日発表された第3四半期決算では、香港の経済見通しを反映させた結果、信用損失が前期比で約4億ドル増えています。調整後税引き前利益が、コンセンサス予想の57億ドルに4億ドル届かなかった(前年同期比12%減)ことも合わせて、悲観的な見通しが広まり、株価は下落基調になっています。

HSBCの株価推移。source yahoo finance

香港デモへのHSBCの対応

この民主化デモは徐々に急進的になってきており、香港の金融街・中環(セントラル)もターゲットになっています。この状況を受けて、マーク・タッカー会長は、中国国営放送(CCTV)の取材に対し、「暴力で目的を達成することはできない」と語り、平和的な解決を呼びかけました。

また、HSBCはローン審査基準を厳しくするなど、景気の悪化を予想した対策も取っています。

参考 香港デモの暴力、英金融大手が非難 新聞に意見広告BBC 参考 香港の銀行、住宅ローン金利引き上げを計画 不良債権増加を警戒ロイター

HSBC株のリスクは?

香港民主化デモは急進化しており、今後は人数は少なくなるが、より暴力的なデモになると考えられます。これまでは大衆運動でしたが、性格が変わりました。そうなると、鎮圧する行政・警察の対応は厳しさを増すでしょう。既に死者が出ており、何らかの事件に発展するかもしれません。

HSBCの株価の行方は予測できませんが、厳しい織り込まれ方をしてもおかしくないでしょう。ただでさえ世界的な低金利で、リテールバンキング業務の収益力が落ちているところに、重要な地盤の一つである香港がこの状況ですから。

過剰な心配は不要か

HSBCは1865年に旧・香港上海銀行が香港で創設されてから、何度か戦乱をくぐり抜けてきました。元々、戦時下に誕生した銀行です。今回以上の危機を過去に経験しています。

ノエル・クインCEOは、第3四半期決算を契機として、収益性の低い事業から撤退することを表明しています。フリント前CEO時代に約170億ドルに拡大した、中国部門・IT事業への投資は縮小される見込みです。状況がさらに悪化する場合には、香港部門の縮小も考えられるでしょう。選択と集中が進むことを期待しています。

HSBCホールディングスの銘柄分析記事はこちらです。

HSBCホールディングスの銘柄分析。高配当・ADRの大型金融銘柄。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です