日本を代表するアクティブ・ファンドである、ひふみ投信とセゾン投信を比較してみます。
セゾン投信には「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」の2本がありますが、よりアクティブな運用をする「セゾン資産形成の達人ファンド」を比較対象にします。(以下、セゾン投信と表記しています。)
目次
ひふみ投信とセゾン投信の運用方式
ひふみ投信はファミリーファンド方式
ひふみ投信(ベビーファンド)の資金をマザーファンドに投資して、マザーファンドが実際に株式に投資します。
セゾン投信はファンド・オブ・ファンズ方式
ファンド・オブ・ファンズ 方式とは、株式などの資産に直接投資するのではなく、株式や債券に投資している複数の投資信託に投資して、運用を行う仕組みです。
ファミリーファンド方式とファンド・オブ・ファンズ方式の違い
ファミリーファンド方式は複数のファンドが、一つのマザーファンドに投資します。逆にファンド・オブ・ファンズ方式は、一つのファンドが複数の投資信託に投資をします。
ファンド・オブ・ファンズ方式の方が、バンガードなどの既存の有名ファンドを買えば良いため、運用がお手軽と言えます。ファンド・オブ・ファンズ方式は、投資家が投資する投資信託と、その先にある実際の投資対象ファンドの両方で、信託報酬が差し引かれます。
ひふみ投信とセゾン投信の諸経費
信託報酬等の比較(税込)
ひふみ投信 | セゾン投信 | |
信託報酬 | 1.078% | 1.55% |
信託財産留保額 | なし | 0.1% |
純資産額 | 5684.75億円 | 918.13億円 |
信託報酬などの経費面では、ひふみ投信の方が低いので良いですね。
ひふみ投信の割引制度
ひふみ投信は、レオス・キャピタルワークスから直接購入する場合に「ひふみ投信」、証券会社等の販売会社から購入する場合に「ひふみプラス」、iDeCoで購入する場合に「ひふみ年金」となります。それぞれ次のような割引制度があります。
ひふみ投信 | ひふみプラス | ひふみ年金 |
年率1.078% | 純資産総額500億円まで⇒1.078% | 0.858% |
保有期間5年~10年⇒0.2%実質割引 | 純資産総額500億円超部分⇒0.968% | – |
保有期間10年~⇒0.4%実質割引 | 純資産総額1,000億円超部分⇒0.858% | – |
iDeCo用のひふみ年金は割引制度がなく、一律0.858%(税込)です。
ひふみ投信とセゾン投信のリターン
期間別リターン(年率)
ひふみ投信 | セゾン投信 | TOPIX | |
1年 | 28.27% | 27.63% | 18.1% |
3年 | 11.65% | 11.30% | 6.7% |
5年 | 12.88% | 8.70% | 6.4% |
参考に載せたTOPIXは配当込みリターンです。ひふみ投信もセゾン資産形成の達人ファンドも、TOPIXを大幅にアウトパフォームしています。ひふみ投信のリターンが最も高いです。
シャープレシオ(年率)
ひふみ投信 | セゾン投信 | |
1年 | 1.72 | 1.64 |
3年 | 0.79 | 0.81 |
リターンが同じであれば、リスクが小さいほど、シャープレシオは大きくなります。リスクが同じであれば、リターンが大きいほど、シャープレシオは大きくなります。数値が大きいほど、運用効率が良いのですが、あまり差がありませんね。
設定来累計リターン
ひふみ投信 | セゾン投信 | |
設定来累計 | 400.8% | 134.66% |
期間・始期 | 2008年9月30日 | 2006年6月12日 |
期間・終期 | 2019年12月30日 | 2019年12月30日 |
ひふみ投信の投資対象
国内外の割安と思われる株式に投資します。株式と現金のみで構成され、株式の組入比率は50%〜100%の幅で変動します。
ひふみ投信の資産別投資割合
国内株式 | 85.6% |
海外株式 | 12.5% |
現金等 | 1.9% |
ひふみ投信の構成銘柄上位
順位 | 銘柄名 | 種別 | 割合 |
1 | 協和エクシオ | 国内大型 | 2.3% |
2 | 東京センチュリー | 国内大型 | 2.2% |
3 | ネットワンシステムズ | 国内中小型 | 2.0% |
4 | 光通信 | 国内大型 | 1.9% |
5 | INTUIT INC | 海外大型 | 1.7% |
6 | アマノ | 国内中小型 | 1.7% |
7 | 東京エレクトロン | 国内大型 | 1.7% |
8 | ショーボンドホールディングス | 国内中小型 | 1.6% |
9 | シスメックス | 国内大型 | 1.6% |
10 | VISA | 海外大型 | 1.5% |
ソニーやSBGなどの人気が高い銘柄は見当たりません。3位と6位に中小型株が入っているのが、ひふみ投信らしさですね。海外株も上位に入っています。
セゾン資産形成の達人ファンドの投資対象
長期投資を前提として、安全性や長期的な収益力を基準に選定した、海外と日本のファンドに分散投資をします。ひふみ投信とは異なり、株式市場の過熱時には、債券を組み入れることがあります。
セゾン資産形成の達人ファンドの地域別投資割合
順位 | 地域 | 投資割合 |
1 | 北米 | 44.5% |
2 | 欧州 | 26.9% |
3 | 日本 | 11.9% |
4 | 太平洋地域 | 2.3% |
5 | 新興国 | 14.4% |
日本株より海外株(特にアメリカ株)の比率が高くなっています。地域別の割合は、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスと近いです。
セゾン資産形成の達人ファンドの構成銘柄上位
順位 | ファンド名 | 通貨 | 投資割合 |
1 | コムジェスト・ヨーロッパ・ファンド80 | 円建て | 27.41% |
2 | バンガード米国オポチュニティファンド | ドル建て | 21.62% |
3 | コムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンド90 | 円建て | 13.24% |
4 | アライアンス・バーンスタイン SICAV-コンセントレイテッドUSエクイティ・ポートフォリオ | ドル建て | 10.02% |
5 | BBH・ルクセンブルグ・ファンズ-BBH・コア・セレクト | ドル建て | 9.84% |
6 | スパークス・長期厳選・日本株ファンド | 円建て | 5.44% |
7 | スパークス・ワンアジア厳選投資ファンドS | 円建て | 4.37% |
8 | コムジェスト日本株式ファンド | 円建て | 3.38% |
9 | スパークス・集中投資・日本株ファンドS | 円建て | 2.99% |
ほとんどが機関投資家向けの商品であるため、全く馴染みがないファンドばかりです。ただセゾンが長期的に安定していると考えているファンドなので、心配は要らないでしょう。
ひふみ投信とセゾン資産形成の達人ファンドはどちらが良いか?
諸経費や過去のリターンを見ると、ひふみ投信の方が優れています。とはいえ、セゾン資産形成の達人ファンドも十分に良いファンドです。市場平均(TOPIX)を長期的にアウトパフォームしていますからね。海外株比率の高さも魅力です。
ひふみ投信で心配なのは、純資産額が巨額になり過ぎて、強みであった中小型株投資に支障が出ないか?という点です。純資産額が巨額になると、どうしても大型株の組入比率を上げなくてはならない。ファンド・オブ・ファンズ 方式のセゾン投信には、こういう心配は要らないです。