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HDVとは?
HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)は、配当水準が高位のアメリカ株式で構成される、スマート・ベータ型のETFです。高配当の持続性が高い銘柄を集めることを目的としたETFです。
HDVのファンド詳細
HDVの概要
2020年4月5日時点の数値です。
運用会社 | ブラック・ロック |
純資産総額 | 55.41億ドル |
設定日 | 2011年3月29日 |
連動する指数 | モーニングスター配当フォーカス指数 |
保有銘柄数 | 74 |
信託報酬 | 0.08% |
配当利回り | 5.16% |
HDVの保有銘柄数
保有銘柄数は74銘柄です。VYM、SPYDといった他の高配当ETFより少ないですが、50銘柄以上あれば分散投資の効果に差は出ないとされます。75銘柄は十分な銘柄数です。
HDVの信託報酬
0.08%という信託報酬は十分に低いですが、VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)は0.06%、SPYD(SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式)は0.07%です。
VYMが信託報酬引き下げを発表したのは、2019年2月です。VYMに対抗して、HDVが信託報酬を引き下げるかは不明です。現時点では他の高配当株式ETFに比較して、HDVの信託報酬はわずかですが、割高になっています。
HDVの構成銘柄
HDVを構成する上位10銘柄です。(2020年4月2日現在)
銘柄 | ティッカー | セクター | 構成比率 |
エクソン・モービル | XOM | エネルギー | 10.29% |
AT&T | T | コミュニケーション | 8.93% |
ベライゾン | VZ | コミュニケーション | 7.45% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 7.34% |
シェブロン | CVX | エネルギー | 6.50% |
ファイザー | PFE | ヘルスケア | 6.24% |
シスコ・システムズ | CSCO | 情報技術 | 4.63% |
メルク・アンド・カンパニー | MRK | ヘルスケア | 4.38% |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 3.77% |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | 3.69% |
エネルギー・コミュニケーションの比率が高くなっています。エクソン・モービルが一銘柄で10%以上となっているのは、バランスを欠いていますね。
セクター別投資比率
エネルギーセクターの投資比率が高いです。エネルギー、生活必需品、ヘルスケアという、シーゲル派やバリュー株投資家が好むセクターが、高いのは良いのですが、エネルギーセクターは原油価格の影響を強く受けます。
これまでは、エネルギーセクターもヘルスケアや生活必需品と同様に、ディフェンシブなセクターとされてきました。しかし、最近のエネルギーセクターの乱高下を見ると、もはやディフェンシブなセクターとは言えません。
HDV対S&P500

HDVとVOO(S&P500)のパフォーマンス比較(配当込み)
赤がHDV、青がVOO(S&P500)です。配当込みのパフォーマンス比較です。HDVは設定以来、アメリカの市場平均であるS&P500をアンダーパフォームしています。トランプ政権(2017年1月)以前は良い勝負となっています。
トランプ減税以降は、自社株買いの急増やテック銘柄の急伸がありました。S&P500もテック銘柄上昇の恩恵を受けました。HDVの構成銘柄も自社株買いは増えましたが、テック銘柄の構成比率が小さいため、トランプ減税の影響は相対的に小さかったと言えます。
HDV対VYM

HDVとVYNのパフォーマンス比較(配当込み)
赤がHDV、青がVYMです。HDVはブラックロックの高配当株式ETFで、VYMはバンガードの高配当株式ETFです。よく比較される両者ですが、パフォーマンスは、トランプ政権誕生後からVYMが上回っています。
HDVはエネルギーセクターの割合が最大ですが、VYMのエネルギーセクターの割合は下位(11セクター中7位)です。エネルギーセクターの低迷も、HDVがVYMに劣った理由の一つです。
HDVの売買回転率
HDVは銘柄の入れ替えが多いことでも知られます。HDVの売買回転率は57.0%となっています(2020年4月5日時点。ソースはフィデリティ社HP)。年間で57%の銘柄が入れ替わるペースで、売買が行われていることを意味します。
ずっと残り続けている銘柄(エクソン・モービル)もあれば、フィリップ・モリスのように一度外された後、また復活した銘柄もあります。この高い売買回転率の原因は、モーニングスター配当フォーカス指数にあります。
モーニングスター配当フォーカス指数
モーニングスター配当フォーカス指数は、以下の条件を満たす米国株式で構成されます。
- 財務の健全性が高い
- 配当支払いの持続が高いと認められる
- 上記の条件を満たす企業のうち、配当利回り上位75社
配当利回りだけでなく、財務が厳しくチェックされます。株式のみの指数で、REITや債券は含まれません。この指数に構成される銘柄数が、HDVの保有銘柄数の75(4/5時点では74)です。HDVは指数から外れた銘柄を、その都度売却し、指数に加えられた銘柄を購入しています。
モーニングスター配当フォーカス指数の銘柄選定は、年4回です。HDVも年に四度のリバランスを行うため、売買回転率が高くなっています。
個人的な評価
シーゲル派が好むディフェンシブなセクターが多いのが魅力とされていたHDVですが、政治的な要因で乱高下するエネルギーセクターは、もはやディフェンシブなセクターとは言えません。高い売買回転率も難点です。売買回数が高い投資家ほど、利回りが低い傾向にあるのは、シーゲル教授の著書でも指摘されています。(詳しくは緑本349ページを参照してください)
高配当株式ETFを購入するのであれば、「高配当であること」のみが条件となっている、VYMを選択するのが無難だと思います。高配当株式ETFの比較については、次の記事をご参照ください。