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GICS の産業分類(セクター分類)
GICSとは
GICSは、グローバル産業分類標準 (Global Industry Classification Standard)の略称です。外国株式の業種分類では、最もよく使用されます。GICSは世界の産業を、11 のセクター、24 の産業グループ、69 の産業、158 の産業サブグループに分類しています。
GICSが分類する11セクター
セクター | 日本語名 | 個別銘柄の例 |
INFORMATION TECHNOLOGY | 情報技術 | アップル、マイクロソフト、インテル |
HEALTH CARE | ヘルスケア | ファイザー、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン |
CONSUMER DISCRETIONARY | 一般消費財 | アマゾン、テスラ、ナイキ |
UTILITIES | 公益事業 | ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー |
CONSUMER STAPLES | 生活必需品 | P&G、コカ・コーラ、コストコ |
INDUSTRIALS | 資本財・サービス | ボーイング、キャタピラー、GE |
FINANCIALS | 金融 | JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、バークシャー・ハサウェイ |
REAL ESTATE | 不動産 | アメリカン・タワー、プロロジス |
COMMUNICATION SERVICES | コミュニケーション | ディズニー、ネットフリックス、フェイスブック |
MATERIALS | 素材 | ダウ・インク、アルコア |
ENERGY | エネルギー | エクソン・モービル、シェブロン |
各セクターの10年間のリターン
11セクターのリターン
バンガード社は、GICSの11セクターに対応したETFを設定しています。セクターETFに投資をすれば、そのセクターに分散投資できます。
ここで、各セクターETFのリターンを比較してみます。2011年5月5日〜2020年5月4日の10年間、配当込みの数値です。参考にS&P500・ETFのVOOも掲載します。経費率はセクターETFが0.10%、VOOは段階的に引き下げられ、現在は0.03%です。
ETF | セクター | 平均年率 | リターン(10年) |
VGT | 情報技術 | 16.88% | 407.16% |
VHT | ヘルスケア | 14.43% | 336.32% |
VCR | 一般消費財 | 13.15% | 303.99% |
VPU | 公益事業 | 10.12% | 238.06% |
VDC | 生活必需品 | 9.84% | 232.81% |
VIS | 資本財・サービス | 7.82% | 196.97% |
VFH | 金融 | 7.82% | 196.89% |
VNQ | 不動産 | 6.55% | 176.94% |
VOX | コミュニケーション | 5.58% | 163.03% |
VAW | 素材 | 4.46% | 148.08% |
VDE | エネルギー | △6.60% | △45.92% |
VOO | S&P500(市場平均) | 11.06% | 256.97% |
情報技術セクターとヘルスケアセクター
上の表から、この10年間は、情報技術セクター、ヘルスケアセクター、一般消費財セクターに投資をしていれば、市場平均(S&P500)を上回るリターンを得られたことが分かります。
ヘルスケアはS&P500指数が設定された1957年以来、長期的に市場平均を上回っています。情報技術セクターは、20世紀は平凡でしたが、アップルやマイクロソフトに牽引され、ここ10年は最高のリターンになっています。
素材セクターとエネルギーセクター
素材セクターは、化学や鉄鋼が主体です。S&P500の設定以来、最悪のセクターとして知られていますが、この10年間も市場平均を大幅に下回りました。20世紀の序盤は花形でした。
エネルギーセクターは20世紀を通じて高いリターンでしたが、この10年間で大きく崩れ、マイナスの利回りになりました。今後、回復するかは原油価格次第ですね。
スマート・ベータ戦略
スマート・ベータ戦略
特定の要素に絞って、分散投資をすることをスマート・ベータ戦略と言います。特定のセクターに絞って分散投資をすることも、スマート・ベータ戦略の一つです。
インデックス投資のように、時価総額型の指数に投資をして、市場全体の値動きに合わせるよりはアクティブな運用ですが、個別銘柄を選んで投資するよりはパッシブな運用です。
個人的なおすすめ
将来のリターンを読むことは難しく、成長性が高いと誰もが分かっていれば、株価に織り込まれているはずです。その前提はありますが、ヘルスケア(VHT)、生活必需品(VDC)は常に需要があるはずで、今後も崩れにくいのでは、と思っています。
ポートフォリオの中心はインデックス投資であるべきですが、平均的なリターンを補完するためには、スマート・ベータ戦略は最適です。私の場合はセクターではなく、配当に着目して、高配当ETFのVYMを買い続けています。