Long-term investment

【BTI】FDAが方針転換。ニコチン規制とメンソール規制は先送り。

FDAのニコチン規制

FDA(米国・食品医薬品局)は2017年7月に、「タバコに起因する死亡率を低減させる、包括的な規制計画」を発表しました。この計画の中で注目されたのは、タバコに含まれるニコチンの量を、中毒性を生まないレベルにまで低減させるという案です。

FDA委員のScott Gottlieb医学博士によれば、この計画によって560万人の若者を、タバコに起因する死から救うことができます。本当であれば良いことですが、タバコ会社にとっては顧客を失う厳しい案です。

参考 タバコに起因する死亡率を低減させる、包括的な規制計画FDA

FDAのメンソール規制

さらにFDAは2018年11月に、メンソール・タバコを禁止する方針を示しました。FDAによればメンソールのタバコは若者やアフリカ系アメリカ人に人気で、喫煙習慣を助長しています。1,950万人以上がメンソールタバコを吸っていて、タバコ販売総数の35%、タバコ総売上の34%をメンソールタバコが占めているとのこと。

メンソール規制報道で株価が急落

BTIの株価推移。source yahoo finance

このニュースを受けて株価の急落が目立ったのが、有力メンソールブランドのニューポートを持つ、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)です。45〜55ドルで推移していた株価が、30ドル台前半まで下がりました。

参考 米FDA、メンソールたばこの販売禁止へWSJ

FDAの矛先は電子タバコに移る

2019年3月にFDAが示したタバコ規制のガイダンスは、これまでの方針を修正したものでした。(Modifications to Compliance Policy for Certain Deemed Tobacco Products)

現在、未成年者の間で使用が広がっている、電子タバコをターゲットにしたのです。これによって、メンソール規制は一旦棚上げにされました。決してメンソール規制が無くなったわけではなく、先送りされたと見るべきです。しかし、BATの株価下落には、一旦歯止めがかかりました。

FDAの新計画からニコチン規制案が削除される

タバコ規制の報道が続く中、タバコ会社に朗報が来ました。FDAが2019年11月に更新した「タバコに起因する死亡率を低減させる、包括的な規制計画」から、ニコチン量規制案が削除されたのです。

この規制計画が実施されていたら、タバコ会社にとっては大打撃になるところでした。米医学誌の論文によれば、このニコチン規制によって、500万人が禁煙できるはずだったのです。

参考 ニコチンレベル低減による公衆衛生への影響ニューイングランド・ジャーナル

規制計画の更新を受けて、アルトリア(MO)株は3.2%、フィリップ・モリス(PM)株は1.4%、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)株は3.6%上昇しました。

トランプ大統領が選挙を前に、電子タバコ規制に消極的になる

朗報は続きます。11月18日には、トランプ大統領が電子タバコ規制を撤回(先送り)すると報じられました。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、トランプ大統領の側近が、「電子タバコ規制を実施したら、複数の州で票を失うことになる」と助言したとのこと。選挙戦を前にして、トランプ大統領も無用なリスクを取りたくなかったということでしょうか。

参考 Trump Retreats From Flavor Ban for E-Cigarettesニューヨーク・タイムズ紙

タバコ株は歴史的に規制や訴訟の圧力を受けてきた

フィリップ・モリス株の90年代〜03年の値動き。source yahoo finance

フィリップ・モリス株の値動きと、訴訟の関係をチャートにすれば、タバコ株の歴史の一端が分かります。(訴訟の歴史については、別途取り上げます。)ここで重要なのは、数千億ドル(数兆円)規模の損害賠償を負わされても、タバコ会社はそれを上回るフリー・キャッシュ・フローによって、減配することがなかったということです。

タバコ株が極めて悲観的に見られた時期に、配当再投資を続けた人たちは、割安に株数を増やすことができました。そして、タバコ会社の経営体力に楽観的な見方が広がると、株価は上昇。複利効果によって、高いリターンを得ることが出来たのです。

現在の規制内容

しかし、過去の損害賠償訴訟に比較して、現在見られるタバコ規制案は、タバコ会社のキャッシュフローそのものを断つ可能性があります。

  1. ニコチン量規制
  2. メンソールタバコ規制
  3. 電子タバコ規制(フレーバー規制)

これらの規制は再び動き出すでしょう。問題は先送りになったに過ぎないと見るべきです。

それでもタバコ株はオワコンにならないか

先進国でタバコが衰退する一方で、可処分所得の増加によって、新興国では喫煙人口が増加していくと見られます。特にアフリカは今後、JT、PM、BATの3社を中心に、激しい競争が予想されます。

今回、アメリカでの規制が先送りになりましたが、再び規制の流れが強まったとしても、新興国の動きも合わせて、冷静に俯瞰して見た方が良いでしょう。先進国で稼げなくなった分を、新興国で稼げるかが重要になります。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコの銘柄分析記事はこちらです。

【BTI】ブリティッシュ・アメリカン・タバコの銘柄分析。高配当ADR

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です