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BHPグループとは
BHPグループは世界で時価総額が最大の資源会社です。2001年にBHP社とビリトン社の二元上場会社としてBHPビリトン社となり、2018年にBHPグループに改称しました。
天然資源の発見、取得、開発、マーケティングを事業とし、扱う資源は石油、ニッケル、鉄鉱石、原料炭、銅など多岐に渡ります。
本拠地 | 豪・メルボルン |
創業 | 1851年 |
セクター | 素材 |
ティッカー | BHP(BBL) |
BHPグループの業績の推移
売上高の推移
2016年に売上が大きく落ち込んでいます。要因は二つあり、原油価格の暴落と中国経済の落ち込みです。どちらもその後回復基調のため、売上高も回復してきました。(数値のソースは全てアニュアル・レポートです。)
営業利益の推移
2016年の営業赤字のうち94.6%は石油・ガスの赤字が原因です(△59億4百万ドル)。2015年に原油価格が1バレル約100ドルだったのが、一気に30ドル台まで暴落したことが影響しています。
また、2015年に発生したチャイナショックの余波が続いていました。2016年時点で中国への売上高は、総売上高の42.6%に達していて、中国経済が落ち込むと業績が悪化する構造になっています。中国経済に依存するのはオーストラリア企業の特徴ですね。アニュアル・レポートでも、中国経済の悪化がリスク要因であると説明されています。
BHPグループの財務
流動比率
単位:百万ドル | 流動資産 | 流動負債 | 流動比率 |
2016年 | 17,714 | 12,340 | 143.5% |
2017年 | 21,056 | 11,366 | 185.2% |
2018年 | 35,130 | 13,989 | 251.1% |
2019年 | 23,373 | 12,339 | 189.4% |
流動比率は安全圏で推移していて、短期的な財務には問題がありません。かなり健全な部類ですね。
長期債格付け
スタンダード&プアーズ | ムーディーズ | |
2016年 | A | A3 |
2017年 | A | A3 |
2018年 | A | A3 |
2019年 | A | A2 |
- S&PのAの定義→金融債務を履行する能力は高いが、上位 2 つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい。
- ムーディーズのA2の定義→中級の上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付。※ 同じAの中では、A3よりA2が上位。
BHPグループのキャッシュフロー
原油価格暴落とチャイナショックにより、業績が悪化した2015年〜2016年でも、フリーキャッシュフローはプラスを維持していました。その後回復しています。現在は財務が良く、キャッシュフローも良好です。
配当金の推移
業績が悪化した2016年には減配がありました。その後回復しています。オーストラリアの株はアメリカ株と比べて、業績悪化時に減配しやすいように感じます。この銘柄を持つ上では、資源の価格変動によって時に減配も有り得ると、想定した方が良いかもしれません。
事業の見通し
資源別の収益割合
単位:百万ドル | 収益(2019年) | 割合 |
石油・ガス | 5,930 | 13.4% |
銅 | 10,838 | 24.5% |
鉄鉱石 | 17,255 | 39.0% |
石炭 | 9,121 | 20.6% |
その他 | 1,144 | 2.5% |
今後の展開
BHPグループは石炭事業からは段階的に撤退する一方で、石油事業では今後高いリターンとキャッシュフローを生み出す見通しを示しています。また、埋蔵量が大幅に上方修正された、スカボローガス田など、いくつかのガス事業への参画を計画しています。
BHPグループの収益は、資源を取得や開発を事業としているため、資源価格に左右されます。資源価格の推移は読めません。複数の資源を扱っていて、分散されているのは良い点ですね。
オーストラリア株への投資について
各指標の比較
日本 | アメリカ | オーストラリア | |
人口 | 減 | 増 | 増 |
GDP成長 | 横ばい | 増 | 増 |
総債務残高 | 237.69% | 106.22% | 41.76% |
国債格付け | A+ | AA+ | AAA |
リターン | 4.5% | 6.5% | 7.5% |
※ 総債務残高は対GDP比です。リターンは1990年〜2006年の市場平均の年率です。
オーストラリアの見通し
BHPグループはオーストラリア株ですが、オーストラリアに投資するのは、なかなかメリットが高いのではないかと思います。シーゲル教授の調査(1990年〜2006年)によると、オーストラリアは株式のリターンでアメリカを上回る、数少ない国の一つでした。
今後、長期的に人口増が予想され、債務が小さいこともプラス要素です。オーストラリアの人口は、2100年には2015年比で75.8%の増加予想、一方で日本は33.9%の減少予想です。国債格付けはS&Pのものを掲載しましたが、ムーディーズとフィッチでも、オーストラリアの債務格付けは最高格付けになっています。
BHPグループ株について
日本の証券会社からオーストラリアに投資をする場合、買う価値が全くないファンドを除くと、BHPグループとウエストパック銀行しか選択肢がありません(今後増えるとは思いますが)。
同社は資源会社のため、株価が資源価格の推移によって大きめな幅で変動してきました。財務もキャッシュフローも良く、オーストラリア自体の見通しが良いため、安い時期には個人的に買いだと思っています。現在、安くなり始めているため、取り上げました。