Long-term investment

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の分析

eMAXIS Slimバランスとは

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、ファミリーファンド形式で、後述の8つのタイプの資産に均等に分散投資する、バランス型のインデックスファンドです。

日本・先進国・新興国の株式、債券、日本と先進国のリート(不動産投資信託証券)に投資します。

ファンドの詳細

2019年7月12日時点のデータです。

ファンド設定日 2017年5月9日
純資産額 289.55 億円
信託報酬 年率0.1512%(税抜0.14%)
実質コスト 0.237%
ベンチマーク 8種類(後述します)

実質コストはバランス型としては相当な低さです。2019年5月14日に信託報酬が引き下げられているため、今後は更に下がる可能性が高いと考えられます。

ベンチマーク

各資産クラスのベンチマークと投資割合は以下のとおりです。

投資対象 ベンチマーク 投資割合
国内株式 TOPIX 12.5%
先進国株式 MSCIコクサイ・インデックス 12.5%
新興国株式 MSCIエマージング・マーケット・インデックス 12.5%
国内債券 NOMURA-BPI総合 12.5%
先進国債券 FTSE世界国債インデックス 12.5%
新興国債券 JPモルガンGBI‐EMグローバル・ダイバーシファイド 12.5%
国内リート 東証REIT指数 12.5%
先進国リート S&P先進国REITインデックス(除く日本) 12.5%

リターン

基準価額チャート source 三菱UFJ投信

基準価額の推移をチャートで見ると、バランス型ファンドとしては値動きの幅は大きいです。その理由は株式と後述のリートにあります。設定来のリターンは9.78%となっています(2017年5月9日〜2019年7月22日)。リターンは高いですね。

リートの推移

リートとは?

リート(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金を不動産に投資する金融商品です。投資対象は、住宅、ホテル、オフィスビルなど。例えばオフィスビルに投資するリートの場合は、賃料が収益になります。

東証REIT指数とTOPIXの比較(配当込み)

東証リート指数とTOPIX source J-Reit.jp

青のチャートが東証REIT指数(国内リート)、オレンジのチャートがTOPIX(国内株式)です。上のチャートの通り、国内ではリートが株式をアウトパフォームしています(配当込み)。

ITバブル崩壊後からサブプライム金融危機までの間は、リートと株式の連動性は非常に高いです。

2012年以降、リート指数がTOPIXを上回るようになっています。金融緩和の恩恵が株式以上に大きかったことになります。上記チャートは配当込みですが、配当を除いて比較すると、TOPIXは東証REIT指数より上です。リートは配当収入の貢献が、株式より大きいことが分かります。

source ブルームバーグ

より歴史が長い米国リートでも同様の傾向があります。青いチャートが米国リート(FTSE NAREITインデックス)、オレンジのチャートが米国株式(S&P500)です。

この1年間の推移を見ると、米国のリート指数はS&P500(米国株式)をアウトパフォームしています(配当込み指数)。低金利環境が株式以上に有利に働いています。

一方で配当を除くと、S&P500が上になります。日本と同じくアメリカでも、リート指数は配当収入の貢献が株式より大きいです。リート指数の値動き(上昇要因)のうち、配当収入要因は約半分を占めます。

株式に比較して歴史が浅いですが、今後も株式をアウトパフォームし、100年後にはリートの利回りの方が高い、ということが常識になっていてもおかしくありません。一方で、全体的には株式と似た動きになることから(正の相関)、リートは株式のヘッジには向かないでしょう。

  1. 金融緩和により、国内リート、米国リートともに、株式の市場平均ををアウトパフォーム。
  2. 株式と値動きが似ていて、ヘッジには向かない。
  3. 今後も株式を上回るリターンを得られる可能性あり。

債券

株式とリートは値動きの幅が大きく、ハイリスクハイリターンな金融商品です。それに対して、短期の債券は値動きが安定していて、長期の債券は株式の逆の相関関係のものもあります。そのため、株式やリートのヘッジとしては債券が向いています。

この投資信託の構成のうち、株式とリートは62.5%を占めます。6割強がリスクの高めな金融商品です。

ローリスク・ローリターンな国内債券は12.5%です。ただし、国内債券インデックスは、変動金利型の国債に比べて、金利上昇による値下がりリスクがあります。

債券の残り3分の2が外国の債券であることにも、留意が必要です。外国債券の内訳は先進国債券と新興国債券です。当ファンドは為替ヘッジを行わないため、為替リスクも一定程度あります。

各債券クラスの、採用するベンチマークに基づくリターン等は、以下のとおりです(配当込み)。

資産クラス 過去10年の平均年率 リスク
国内債券 2.0%
先進国債券 3.8%
新興国債券 4.7%

新興国債

新興国債券のベンチマークである、JPモルガンGBI‐EMグローバル・ダイバーシファイドは、新興国14か国の現地通貨建て国債が対象となっています。

新興国債券には通常、デフォルトリスクがありますが、この指数は各国の投資割合が制限され、広く分散されているため、リスクが一定程度抑えられています。過去10年間の平均年率は4.7%です。

14国の内訳は、ブラジル、ポーランド、メキシコ、南アフリカ、エジプト、トルコ、マレーシア、ハンガリー、タイ、インドネシア、コロンビア、ペルー、ロシア、チリです。

リバランス

当ファンドは、一年に一回、各資産クラスの割合が12.5%になるように、リバランスを行います。リバランスは単純な投資法ですが、リスク・リターンを大きく改善することができます。

リバランスとは?

例えば株式50%、債券50%という慎重な資産配分でポートフォリオを組んで、1年間持っていたとします。

株式が大きく値上がりし、一年後には株式の評価額が70%、債券の評価額が30%に変わってしまいました。ポートフォリオは当初と異なり、株式重視のハイリスク・ハイリターンなものになっています。

ここで株式を売り、債券を買って、当初の資産配分である株式50%、債券50%に戻します。

これがリバランスです。

株式が値下がりした場合には、債券を売って株式を買い、資産配分を元に戻します。

資産配分を維持しながら、株式を高い時に売って、安い時に買うという行動を、機械的に繰り返すことができます。

個人的な評価

バランス型のインデックスファンドは、信託報酬が割高であることが難点とされてきました。しかし、当ファンドは実質コストが0.237%と非常に低く、多くのバランス型ファンドが持つ弱点が解消されています。

資産配分も8資産への均等配分で、分かりやすいです。世界中の株式、リート、債券(リートのみ新興国を除く)に広く分散されています。

難点としては、8資産均等型の特徴として、リスク高めな資産の割合が大きいことが挙げられます。

リスク許容度が高めな人には、最適なバランス型ファンドと言えます。個人的にはバランス型ファンドの中で、最もおすすめできるファンドです。

一方で、より慎重な投資をしたい防衛的な投資家には、国内債券の割合が高いファンドが望ましいかもしれません。(例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオのように、株式と債券が50%ずつのバランス型ファンド)

各資産クラスのリターン(2010年〜18年)

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