アストラゼネカとは
本拠地 | 英・ケンブリッジ |
創業 | 1999年 |
セクター | ヘルスケア |
ティッカー | AZN |
アストラゼネカはイギリスの大手製薬会社です。
前身のICI社(イギリス)は創業1925年、アストラ社(スウェーデン)は1913年創業。ICI社の医薬品部門(ゼネカ社)とアストラ社が1999年に合併して、アストラゼネカ社が1999年に創業しました。
営業利益
以下、数値のソースはアニュアル・レポートです。
2017年、2018年、2019年と下がっていますが、従来の医薬品(イレッサ等)の売上が落ち、新たなブロックバスター候補が認可を得て、シェアを獲得している過渡期にあたるためです。この数年株価は将来性を買われて上昇しました。
財務の推移
流動資産 | 流動負債 | 流動比率 | |
2015年 | 16,007 | 14,869 | 107.7% |
2016年 | 13,262 | 15,256 | 86.9% |
2017年 | 13,150 | 16,383 | 80.3% |
2018年 | 15,591 | 16,292 | 95.7% |
2019年 | 15,563 | 18,117 | 85.9% |
流動比率は短期的な財務の安定度を示す指標です。危険水域とされる100%を下回っているのは気がかりです。
フリー・キャッシュフローの推移
営業CFは26億〜41億ドルのプラスで推移。フリーCFも潤沢です。
肺がん治療薬「タグリッソ」
タグリッソとは
がんを増殖させる特定の分子を選択して、攻撃するタイプの抗がん剤(EGFR-TKI)です。同社のイレッサは第一世代にあたります。タグリッソは第三世代ですが、適用範囲がイレッサ以上に拡大され、シェアトップになっています。
アメリカでは2018年に、米国食品医薬品局 (FDA)から一次治療での使用を認可されました。これまでに、日米欧州の74か国で一次治療の承認を受けていて、今後のオンコロジー事業の中核になるのは間違いありません。
タグリッソの売上高の推移
2015年から販売が開始されました。2015年には1,900万ドルだった売上高が、2019年には31億8,900万ドルまで伸びています。
参考 肺がんEGFR-TKI タグリッソが市場を席捲。全ラインでシェア55%、1次治療新規では80%ミクスonline株価の推移

AZNとGSKの比較 source yahoo finance
同じイギリスの大手製薬メーカーである、グラクソ・スミスクラインとの比較です。アストラゼネカが緑で、グラクソ・スミスクラインが青です。
営業利益の推移を比較すると、グラクソ・スミスクラインの方が良いです。しかし、タグリッソやがん免疫療法など、今後の期待値が高いアストラゼネカの方が買われています。コロナショックを受けても、アストラゼネカの株価は2018年の水準を上回っています。
個人的な評価
アストラゼネカはオンコロジー事業に強みがあり、将来性は高いと思います。しかし、バリュエーションの観点からは、現時点では「買い」とは言えません。
アストラゼネカと抗がん剤分野で提携した第一三共の株価も、提携の発表後に株価が一時、2倍近くに上昇しました。期待が大きい分野です。コロナショックでもあまり下がりませんでしたが、株価が下落した時には購入を検討したい銘柄です。